研究備忘録:「マインド・マジック:マニフェステーションの神経科学とそれがすべてを変える方法」の読書メモ
「マインド・マジック:マニフェステーションの神経科学とそれがすべてを変える方法」は、2024年5月に出版された書籍。
著者のジェームズ・R・ドティ博士(スタンフォード大学「思いやりと利他主義研究教育センター所長」)は1955年生まれで、カリフォルニア州ランカスターで、アルコール依存症の父親と慢性的なうつ病を患う母親のもと、困難な環境で育つ。1981年にチューレーン大学で医学博士号を取得し、ウォルター・リード陸軍医療センターで脳神経外科のレジデンシーを修了。ドティ博士は米国陸軍医療部隊で9年間現役として勤務、少佐の階級で退役。1997年以来、ドティ博士はスタンフォード大学医学部に所属し、2021年まで脳神経外科学の教授を務める。2008年に設立されたスタンフォード大学の思いやりと利他主義研究教育センター(CCARE: The Center for Compassion and Altruism Research and Education)を創設し所長に就任。CCAREは、思いやりと利他主義の神経的、道徳的、社会的基盤を探求している。現在、ドティ博士はメンタルヘルスサポートのためのAI駆動アプリを開発するHappi AIのCEOを務め、思いやり、マインドフルネス、神経科学と精神性の融合に関する研究・講演を続けてる。
この作品「マインド・マジック」は、マニフェステーションの科学的基盤を探求し、神経科学と心理学に基づいて説明している。
主要概念
神経科学としてのマニフェステーション:ドティ博士は、マニフェステーション(想像した目標を現実化するプロセス)が疑似科学ではなく、脳の可塑性(神経ネットワークの変化する能力)と主要な神経ネットワークの相互作用に基づいた神経学的プロセスであると説明。
集中力と注意力: 本書は、現代社会の様々な気晴らしの中で、集中力を取り戻す重要性を強調。集中力を高めることで目標達成の可能性が向上すると主張。
視覚化と埋め込み: ドティは、成功者(例: ジム・キャリー)の実践に似た方法を紹介。目標を鮮明に視覚化し、潜在意識に埋め込む技術を具体的に解説。
思いやりと利他主義: 多くのマニフェステーションガイドが強調する「自己利益」に偏重せず、他者への思いやりや利他主義を重要視。真の充実感や効果的な現実創造には、社会にポジティブな影響を与えることが必要だと説く。
脳のネットワーク: 本書では、マニフェステーションに関与する4つの主要な脳のネットワークについて議論。
デフォルトモードネットワーク (DMN): 自己認識や内省に関与。
中央実行ネットワーク: 目標達成のための計画と実行をサポート。
顕著性ネットワーク: 重要な情報を選択し、集中力を高める。
注意ネットワーク: 集中を維持し、意識を現在の目標に向ける。
実践的エクササイズ: 効果的なマニフェステーションを実践するための具体的なエクササイズ「6週間のプログラム」を収録。短期的な目標設定から、視覚化、瞑想、行動計画までを体系的に学ぶ事が可能。
物質的成功を超えて: ドティは、純粋に利己的な目標に対して警告を発し、マニフェステーションは個人的な成功だけでなく、より親切で良い世界への貢献を目指すべきと強調。
本書の意義とメッセージ
ジェームズ・R・ドティ博士は、マニフェステーション(想像した目標を現実化するプロセス)を単なる「自己啓発テクニック」としてではなく、脳科学に基づいた実践可能なプロセスとして再定義している。本書は、物質的な成功にとどまらず、思いやりと利他主義を取り入れることで、個人と社会の両方にポジティブな影響を与える方法を示している。
https://youtu.be/tgEmCaKgNso?si=QDGibhluI2VutYLF
https://youtu.be/MgEYF5XVOcU?si=Wz1WLL0eanEj-Tjt