いざ、喫煙者たちの夢の国へ。【たばこと塩の博物館】
四ツ谷:俺さ、たばこ農家になりたいんだ。やっぱり自分で育てたものを楽しみたいよね。スローライフだよ、君たち。
高端:まあ、俺たちはイチゴの栽培には成功してるからな。
北山:それじゃあ今日はたばこについてじっくり学ぶ日にするかね。
四ツ谷:いざ、喫煙者たちの夢の国へ!
四ツ谷:さて「たばこと塩の博物館」に着きました。とりあえず喫煙所に行こう。噂によるとJTの持つ換気技術の粋を集めた、それはそれは素晴らしい喫煙所らしいんだ。
高端:期待感が高まるね。
北山:誰もいないじゃないか。来館者は結構いたのにね。
四ツ谷:どいつもこいつも何しに来てるんだ……。
高端:これだけスタンド灰皿があるのに。きっと設計者は「いっぱい喫煙者が来るだろう」って張り切って置いたんだろう。いまごろむせび泣いてるよ。
四ツ谷:居心地いいな。俺、年パス買ってここで仕事しようかな。
北山:せっかく来たんだから、さっさと展示にいこうぜ。
高端:どうだった? たばこのことは学べたか?
四ツ谷:ああ、もう完璧だよ。たばこがナス科の植物とは知らなかったな。だからナスってあんなに美味いんだ。
高端:……?
北山:常設展の最後の喫煙を推奨する名言が印象深かったな。あのブースがJTからの一番強いメッセージだった。ひとつずつ味わってみよう。まずは池波正太郎。
高端:これは同意しかねる。最初の一文が気に食わない。じゃあ何が無駄じゃないんだよ。TikTokの方がいらねえだろって池波に言いたい。
北山:辛辣だな。次はゲバラ。
四ツ谷:これは分かるな。結婚式とか馴染めない飲み会とかに参加した時、喫煙所が唯一の居場所になるからさ。俺も孤独な兵士だったんだ……。
北山:抜群に輝いてたのはモリエールだね。
四ツ谷:背筋が伸びた気持だ。たばこと塩の博物館に来たのにたばこを吸わずに帰った人たちは、品性が下劣だったんだ……。
高端:なんかめちゃくちゃだな。
四ツ谷:いや、これはすごい発見だよ。たばこって吸ってきれいになるんだ……。すげえ前提。感動的だ……。さすがモリエール卿。
北山:これはすごいよ。言葉はめっちゃ強いけど、振りかぶって「タバコ最高!」って言ってるだけだ。
高端:たぶんアリストテレスは何も言ってねえよ。もう俺たちはアリストテレスの時代にたばこがなかったことを知ってるぜ。
北山:たとえば、ロシア人が「プーチンがなんと言おうと」と言ってるなら分かるけどさ。何かと闘ってる風で、何とも闘っていないな。
四ツ谷:お前らごときがモリエール様にケチつけやがって。なら代わりに標語考えてやるよ。「厚労省がなんと言おうと、医者が束になってかかってこようと、煙草にまさるものはあるまい」
北山:もっと名言っぽくしてあげるね。
四ツ谷:なんで35歳で死ぬんだよ。
北山:そんだけ吸ってりゃそんなもんだろ。