■400年の歴史を支え続けた32人の天皇たち―『平安時代天皇列伝 桓武天皇から安徳天皇まで』
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、平安時代中期の摂関政治が全力で領域展開していた時期を舞台としています。
実は、ワタクシ、某国立大学の大学院博士課程後期課程に在籍していた時分に『大鏡』という歴史物語の研究をしていました。
『大鏡』は平安時代後期(院政期)に成立した作品で、藤原道長の栄華の在り様を余すところなく描き出すことを至上命令としています。
『大鏡』については、こちらの記事にくわしく書いていますので、よろしければご参照ください。
さて、その『大鏡』は、文徳天皇から後一条天皇まで、それぞれの天皇の年代記と逸話を一代ずつ並べた「天皇紀」を持ちます。
おそらく、この記事を読む多くの方が、文徳天皇も後一条天皇もご存じないと思います(もしかすると、後一条はご存知かも)。が、『大鏡』では、この二人をふくむ14人の天皇が藤原道長の栄華への道程へ関わっていると位置づけているのです。
考えてみれば。
道長の栄華を支えた「摂関政治」は、娘を天皇のもとへ入内させ、そこに生まれた男皇子を天皇とし、その外祖父(あるいは、外舅)として権力を振るうことを基盤としています。つまり、「摂関政治」という形式には、どうしても「天皇」の存在が必要不可欠なのです。
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教科書的に794年から始まる平安時代は、12世紀末まで約400年続きます。その間、途切れることなく「天皇」という制度は続き、32名の天皇が即位し退位しました。
今回ご紹介するのは、その32名の天皇一人ひとりの姿を、古記録をもとに描き出した本です。
日本史の教科書に出てくる桓武天皇や後三条天皇、古文の教科書で見かける花山天皇、大河ドラマでよく?見かける後白河天皇と、なんとなく名前くらいは知ってる天皇から、朱雀天皇や二条天皇などめちゃ賢帝なのに歴史の中に埋もれてしまった天皇まで、平安時代の天皇がみっちり網羅してある本書。おすすめポイントが満載なのです。
■『平安時代天皇列伝 桓武天皇から安徳天皇まで』について
■樋口健太郎、栗山圭子編
■戎光祥出版
■2800円+tax
■2023年11月
■奈良時代からの脱却―桓武天皇の場合
平安時代は、794年桓武天皇により平安京遷都が行われた年から始まるとされています。「鳴くよウグイス平安京」ですね。
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