【夏の旅】甲州紀行 at 昇仙峡(2019.07.29) 48 佐々木蒼馬-aoma‐ 2019年8月3日 16:24 朝7時ごろの中央線に乗って、ひたすら西を目指す。平日なので新宿を発車した中央線は、下りとはいえ通勤の人たちでいっぱいになっていた。 どこで座れるだろうかと立っていると、豊田駅までは座れなかった。西国分寺でたくさんの人がおりた。乗換だろうか。 高尾で甲府行きに乗り換える。ローカル線の佇まいの美しさ。ボックス席で足を伸ばし、窓の向こうには山や森がある。 「やまあい」を行くこと。3時間。 「富士急行線でお別れね」と大月駅で高校生の女子が男子に言う。あの時間が何なのか教えて。女の子がおりたあとの、長い長いあの時間を思う。長い長い孤独。 甲府に着いたら、すぐに昇仙峡行きのバスに乗り込む。40分ほど走ったころ、「天神森」というところで下りる。ここから谷を眺めながら歩くことができる。 こうした道路が延々と続いていく。車が追い越していく。車の中からは見えない景色を僕は見ながら歩いている。そう信じなければ33℃のなか、6キロも歩ききることはできない。 苔むしたコンクリートにみな、思い思いの字を書きつけている。好きな人の名前。自分の名前。いつきたのか。苔のグリーンがマトリックスのように見える。デジタルの世界へと一変する。 歩いていると凄まじい水音がする。川を流れる水の勢い。渦巻く。 この景色を見られるのなら、6キロ歩くことなど、わけないと思いながら。 思いながら。 だいぶ歩いたのではないかと思っていたとき、この看板に出くわした。もう半分ほど来ているんじゃないか。この汗の量は、尋常ではないのだから。甘かった。この看板をみて絶望する。まだ、はじまったばかりではないか。 歩く、歩く、歩く。定期的に蛾が、二匹ほど、目の前をビュンビュン飛び回る。これをいちいち払うのが面倒で、蛾のいるところを小走りで駆け抜ける。 大きな岩が見えてくる。どうしたらこのような岩が生まれるのか。 すごい高さだ。「昇仙峡」というのも頷ける。仙人が住みそうなところだ。 中国のそれのような崖。美しい。 途中、おじさんに声をかけられる。ちょっと休んでいかねえか?汗まみれでクタクタの僕は珍しくかき氷を所望する。このときのかき氷。天上の食事と言うに相応しいものであった。 再び歩く。あと20分ほどだと言うおじさんの言葉を信じて歩く。しかし、なんという美しい風景なのか。 クライマックスが近い。 仙娥滝。気温が一気に下がる。轟音が聴こえる。飛沫が、風景をぼんやりさせる。これを、見るために、歩いてきたのだな。 なんというお姿か。 この暑さにはそうめん。流しそうめん。 涼しげ。 ロープウェイでさらに上まであがる。ロープウェイのところに金の鯉が集められた池があった。 岩魚がたくさん泳いでいる川の、岩魚。塩焼きのおいしさ。ありがたい。 甲府に戻り、ホテルに荷物を預けたあと、夕飯。「甲府ぐるめ横丁」では複数のお店の料理が楽しめるということで、贅沢に甲州の食材をいただく。 甲州のサーモン。美味。 甲州の鶏。やわらかい。美味。 甲州の馬刺。最高。 甲府の旅。 いいなと思ったら応援しよう! Web Magazine「鮎歌 Ayuka」は紙媒体でも制作する予定です。コストもかかりますので、ぜひご支援・ご協力くださると幸いです。ここでのご支援は全額制作費用にあてさせていただきます。 チップで応援する #日記 #エッセイ #写真 #詩 #ビジネス #旅行 #アート #旅 #ライフスタイル #写真好きな人と繋がりたい #写真日記 #旅行記 #文学 #ART #一人旅 #芸術 #旅日記 #国内旅行 #スナップ #人生を変えた出会い #夏のオススメ #風景写真 #ひとり旅 #写真家 #旅とわたし #旅エッセイ #旅する日本語 #旅コラム #あの夏に乾杯 #好きな日本文化 #写真の部屋 #甲府 #甲州 #昇仙峡 #近代詩 48