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出会ってしまった。
秋はどこへ。
まだ半袖は片付けられそうもないですね。
今日は駅前にある丸善に行き、2時間ほどいました。
贅沢すぎる。
駅前といっても、都会の大型書店とはわけが違うので、奥へ行くほどほんとうにひっそりとしていて、自分だけの空間になったかのように感じるのもいい。
迷って迷って、江國香織と村上春樹の文庫本を一冊ずつ(しかも既に読んだことのあるもの)、あと詩集を一冊選びました。
詩集。
これは、最近になって私の本棚に加わったのもの。
今日買ったのは、西尾勝彦さんという方の詩集です。
実は、少し前に買った『&Premium』10月号の中で出会いました。
この号のテーマは、「いい本との、出合いは大切。」
『&Premium』って、私のなかでは、ちょっと敷居が高いというか、意識が高いというか、真のおしゃれな人が買ってそうなイメージで、見るだけでハァー、となる(感嘆のため息)位置付けの雑誌なのですが。
読書案内が特集のときだけ、堂々と手にとってレジに行きます(なんのこっちゃ、、)。
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思えば、堀江敏幸も、長田弘も、田辺聖子も、石田千も、レイチェル・カーソンも、アリス・マンローも、過去の読書案内の中で出会いました。
もしかしたら、そうでなくてもどこかで出会っていたかもしれないけど、『&Premium』の中だからこそかもしれない、とも思う。
そこに添えられた写真、そして紹介の文章そのものを読むことが、既にひとつの心踊る読書体験のようでもあるから、その紹介されている本に惹かれてしまうのは、仕方がないでしょう。
西尾勝彦さんの詩集は、「いつも、手元に詩集を。」というページの中で、ある本屋店主の方が紹介されていました。
そう、その文章にやられた…。
与えよう、とする本は敏感に気配を感じて眉根を寄せてしまう。けれど、西尾さんが見るもの、出会った人、場所、時間が、詩や随筆となって丁寧に保存されていて、ふれたときにじーんとしたりにやっとしたり、信じられないほど温かい感情が広がる。『あ、そのままでいいんでこれどうぞ』と、揚げパンをひょいと手のひらにのせてくれるような温かさ。
ちなみに、そこで紹介されていた『なんだか眠いのです』はすでに手元にあって、その日気まぐれに開いたページを、少しづつ大事に読んでいる。
そして今日、本屋でもう一冊『歩きながらはじまること』を見つけてしまったのです。
なんとその本の帯に、雑誌と同じ方のことばが。
また、それが決め手になってしまったという…。
西尾さんの詩集を手に取り、数ページめくって、「出会ってしまった」という顔をされて、感情を静かにおさめながらレジに来るお客さんを何人も見ていると、やはりそうだ、特別な言葉なんだ、と思うしかないのです。
「出会ってしまった」
まさに、これです。
本も。人も。
出会えてよかった、ではなく、出会ってしまった。
出会わなければよかった、とは決して思わない。
でも、出会ってしまったために、またこうして感情をすっぽりもっていかれてしまうのだから。