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お金とは「負債」のことである/お金の新常識#5
はじめに
こんにちは。
毎度お金の話題ばかりになってしまいますが、お金に詳しくなってもらうのはあくまでも手段。
目的は、公教育の充実です。
公教育を立て直す(=人員を潤沢に配置する)ためには、お金とは何か?管理通貨制度とはどんな仕組みなのか?について私たちは正しく理解しなければならないのです。あしからず、よろしくお付き合いください。
さて今回は、「お金」とは負債のことである、ということについてお話ししたいと思います。
お金の正体を考える
「お金」の本質的な正体を理解するため、ここでは次のような三者から成る経済を例に、考えてみましょう。
ここに、米農家さん、パン屋さん、漁師さんがいます。
①米農家さんは、パン屋さんに言いました。
「『お米引換券』をお渡しするので、パンをいただけませんか?お米の収穫時期になれば、『お米引換券』を持ってきた方にお米をお渡しします。」
提案を快諾したパン屋さんは『お米引換券』を受け取り、米農家さんにパンを渡しました。
②パン屋さんは、漁師さんに言いました。
「米農家さんから受け取った『お米引換券』をお渡しするので、お魚を分けてもらえませんか?」
提案を快諾した漁師さんは『お米引換券』を受け取り、パン屋さんにお魚を渡しました。
さて、上の例では『お米引換券』がお金の役割を果たしていることがお分かりいただけると思います。
それぞれ『お米引換券』を、パンや魚の購入に充てることができているからです。
「お金」とは「発行者の負債」のことである
ここで、米農家さんは、『お米引換券』が他人によって自分のもとに持ち込まれると、お米をお渡しする「義務」があることに注目してください。
このように、「○○のとき、必ず✕✕いたします」という約束をして負う義務を「負債」と呼びます。
(例えば「借金」は「期限が来たら、利子をつけてお返しします」と約束して義務を負っているので「負債」となるわけです。)
一方、それを受け取ったパン屋さんや漁師さんにとって『お米引換券』は、(米農家さんのところへ持ち込めばお米をもらえる「権利」である)「資産」となります。
このことは、次のことを意味します。
1.お金とは、発行者にとっての負債である。
2.お金とは、発行者以外の者にとっては資産である。
上の例では、米農家さんが発行する「お金(=『お米引換券』)」が受け取られ、流通していました。
しかし現実には、そううまく皆が受け取ってくれるとは限りません。
『お米引換券』の義務を米農家さんが果たす保証もありませんし、お米が欲しくない人には魅力的でないかもしれないのです。
ですから、現実に流通している「お金」、つまり『日本円』という通貨には、皆が受け取る理由が存在します。
すなわち、政府の課す「税」の存在です。
納税は、その国の通貨でしか認められません。
そのことこそが、政府が発行する通貨と、米農家さんのような個人が発行するお金との決定的な違いなのです。
※「税」の役割についての詳細は、下の記事をご覧ください。
長くなってきましたので今回はこの辺で。
次回は、皆さんのサイフにある「紙幣」も負債である、という点に触れたいと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。