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私に荒ぶる林とジャングル(Fan troglodytes)
その日、私はドブ川の酷い匂いで目を覚ました。近頃はどうにもならない異常気象のせいで、朝も夜も関係なく暑い日がある。そうすると熱されたドブ川は発酵し、川の底部からガスが噴き出してくるのだ。考えただけでも「オエッ」である。ただ、私の家の近くにそんなドブ川はない。どうやら寝ぼけている。寝違えたのか首筋も痛い。
「トットットッ!」
そのうえ、一人暮らしなのに部屋の中から足音が聞こえる。重い瞼を剥がして現実
イモットトユッコ(Imottotwoukko)
⒈
財布もスマートフォンも持たずに家を出ると、この世界のどこにも自分の居場所がない事を痛感する。それでも私はどうすれば生存率を上げる事ができるのかを考え始めていた。「あの時ああすれば良かった」なんて、後悔のたらればは全くなかった。何も無い私には、そうするしかない現実しかなかったからだろう。きっとそうだ。
アスファルトの上を葉っぱがカラカラと音を立てながら、形を崩すのとひきかえに移動していく。髪の毛