合言葉は『もったいない』 規格外の野菜をピクルスや惣菜にして販売 ー砥部町・久万山 Deli Lab
2022年1月の「地元を愛す。」プレゼントの賞品にセレクトしのは、昨年9月に砥部町にオープンした「久万山 Deli Lab」のピクルスの詰め合わせ。通常であれば店頭には並ばない規格外の野菜などをピクルスや惣菜に加工し、販売している「久万山」の代表取締役副社長・檜垣由美子さんにお話を伺いました。
八百屋としての長年の苦悩・フードロスを解消するために。
合言葉は『もったいない!』
久万高原町に本社のある創業41年の八百屋「久万山」が2021年9月に砥部町にオープンさせた「久万山 Deli Lab」。店内には新鮮な野菜や果物とともに、ピクルスやジャム、お惣菜などが並ぶ。さらに店の外壁には、大きく『もったいない』の文字が掲げられている。
(檜垣由美子さん)
入口の『もったいない』は私の友人に書いてもらったんですが、この気持ちから生まれたのが「久万山 Deli Lab」なんです。私はずっと八百屋の販売員をやってきましたが、ちょっと傷がついたりした野菜は商品価値がなくなり、廃棄せざるを得ないという現状にストレスを抱えていました。まだまだ食べることができる野菜なのに、見た目が悪いだけで捨てないといけない。どうにかならないのかとずっと思っていたんです。そこで、売れ残ったお野菜や、そもそも商品にならない規格外の野菜を使ったお惣菜やピクルスのお店を開くことにしました。
―ちょっと傷があるだけで廃棄されてしまうとは・・・。確かにスーパーには傷のない、まっすぐのきれいなお野菜ばかりが並んでいますね。
やっぱり消費者が求めるからそうなってしまうんです。大根だって曲がったり先が二股になるのもあります。だけど、店頭に並んだ時に、そういうものを消費者は選ばないからスーパーなども仕入れない。久万高原の畑にも、買い取ってもらえない規格外の野菜がたくさん捨てられています。久万の農家さんたちはみなさんこだわりを持って野菜作りをしています。そんな農家の方にとって、自分が一生懸命作ったものを自分の手で捨てないといけないの情けなさを考えると…。私たちはそういった野菜も買い取って加工しています。野菜を作る方にも食べる方にも喜んでもらえる、双方の思いをつなぐ八百屋になりたいなと思って、このお店を始めました。まだこういった取り組みをしている八百屋は少ないし、実際にやってみると、店頭に並べた惣菜を売り切るように量を調整することなど難しいこともたくさんあります。でも私にとっては、何よりも長年の悩みがここで解消できるという嬉しさが大きいですね。
―オープンから数か月が経ちますが、お客さんの反応はいかがですか。
私たちの考え方に賛同してきてくださるお客さんも結構いらっしゃいます。「私もずっと『もったいない』と思ってたんです!」と言って買いに来てくださったお客さんもいますし、純粋にここの惣菜はおいしいと言って買いに来てくださる地元のおばあさまたちもたくさんいて、地元密着型でやらせてもらっています。
体に良くて優しい、久万の野菜の素材を生かした味を出せるように
―お店ではどんなお惣菜を作っているのですか?
久万高原町で採れた野菜を使って肉じゃがやトマトカレーなどを作っています。メニューはその時にある食材から考えるので様々ですが、極力、調味料を使わないように、体にもよくて優しい、久万の野菜の素材を生かした味が出せるように心がけています。
惣菜とピクルスだけでなく、ジャムやコンポートなども作っています。柿や梨など、珍しいジャムにも試行錯誤を重ねながら挑戦しました。
―今後、チャレンジしてみたいことはありますか?
このお店は砥部町にあり集客自体が少ないので、今後は松山の人にも発信したいし、もっと商品が作れるようになったらネット販売もやっていきたいと考えています。私たちのお店のコンセプトを県外にも発信していきたいですね。
【この記事は2022年1月にeatホームページに掲載したものです。】