『イタリアでの食事マナーNG? OK? スカルペッタとはなに?』
日本の皆さまにも人気のイタリア料理、それを誰より愛しているのはやはりイタリア人であり、家族、友だち、多くの人を食卓を囲むことが大好きです。今日はそんなイタリア人が囲む食卓でのお話です。
日本では食事の前に『いただきます。』と言いますが、これにあたる言葉はどの言語にもないと言われており、もちろんイタリア語にもありません。
ただし、イタリアでは食事をはじめる際、『Buon appetito/ブオナペティート』と言い、『さあ、めしあがれ』の意味で、親戚一同が集まる場合はその家の主が発声することが多いです。自宅での毎日の食事では、全員が言っていることが多いです。
また、その主が食べ始めた時点でほかの人も食事を始めます。このマナーは少し戸惑いそうですが、これがイタリア流です。
ちなみに『Buon appetito』に対しての返答は『Altrettanto/あなたもどうぞ』がスマートです。
席に着いてから食事を終えるまでの細かいマナーは日本の皆さまもご存じだと思うので省略しますが、着席してしばらくしてから膝にナプキンを載せる、食事中は必ずテーブルに手を置き、肘をつかない、その程度のことです。あとは楽しく会話を進めて、しっかりいただくがイタリア式だと思います。
あえてひとつあげると、テーブルマナー違反なのか、食いしん坊イタリア人らしい習慣があります。
特別フォーマルな食事でなくても、ひとが集まる際の食事は前菜、プリモ・ピアット(パスタやリゾット)、セコンド・ピアット(メイン料理)、デザート、果物で構成されています。
お料理がとても美味しくてお皿にソースが残った場合どうにかしたくなるのが人間の心理でしょうか。フォークですくうわけにもいかず、どうすれば最後まで楽しめるのか、答えは簡単、ひと口だいに千切ったパンを使っていただきます。厳密にいうとパンでソースを吸わせる、ふき取る感じでしょうか。
これをやっているイタリア人を見たことがある人もいるかもしれませんが、これをイタリア語で『スカルペッタ/Scarpetta』と言います。イタリア語で靴を『スカルぺ/Scarpe』と言い、『tta』は『指小辞(Diminutivo)』の小さい、少ないを意味します。『Scarpetta』は子ども靴、スポーツシューズや小さい靴を指し、お皿のソースを集めるパンを小さな靴と例えているのでしょうか。
これは家族、友だちなどリラックスした雰囲気での食事では大丈夫かもしれませんが、フォーマルな席ではNGで、ソースをフォークで集め、ひと口だいに千切ったパンをフォークで集めたソースに添わせるようにします。
ただし、フォーマルなお店でもこの『スカルペッタ』を美味しかった証として歓迎している場合もあります。
やり方の程度はあるとは思いますが、イタリアの食卓でできる一番シンプルな『SDGs』かもしれませんね。