ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 レポ
いけないいけない。
1月に上野の国立西洋美術館にて鑑賞した、ベルクグリューン美術館展のレポをしていませんでした…!
もう国立西洋美術館では展示は終わってしまっているのですが、大阪の国立国際美術館にて現在開催中です。
この美術展は、ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007年)のコレクションを収蔵展示する「国立ベルクグリューン美術館」による美術展で、日本では初の開催となるようです。
表題となっているピカソ、そして同時代に活躍したクレー、マティス、ジャコメッティらの作品を堪能できます。
驚くべきことに、ピカソのすべての作品が写真撮影OKでした…!
撮影可の作品はほぼ撮って、インスタハイライトの方にもまとめています。
ご興味ある方はそちらも是非ご覧くださいね。
印象派の流れから一気に現代美術への足取りを辿ることになった20世紀のアート。
表現の可能性をどこまでも追求するアーティスト達の挑戦と、その軌跡。
ベルクグリューンは、そんな「時の人」から信頼を集めた美術商なのですが、そのセンスたるや…
絵が収められている額装もまた豪華で見惚れてしまいます。
この方は、いわゆる「富豪」「パトロン」ではなく、ひたすら美術愛からアートに人生を賭けて作品を集めていった人なんだそうです。
それは、ピカソ作品の豊富さからも、熱意の賜物だということが伝わってきます。
ピカソといえばキュビズムな作風が有名ですが、そこに至るまでの様々な時期の作風は本当に幅広く、それらを網羅的に楽しめる今回の展示は大変興味深いものでした。
特に隠れファンが多いのは「青の時代」と呼ばれた時期でしょうか。
いや、アルルカンに代表とされる「バラ色の時代」と呼ばれた時期でしょうか。
いやいや、セザンヌの影響を感じる時期もあるし、古典主義的な時期もあるし…
とにかくですね、幅広くて!
ピカソ、実はそんなにちゃんと観た事なくて…なんて人にこそ観て欲しい。
ただ確実に言えることは「天才的に上手」であるということ。
え、ピカソほどのアーティストに対して「上手」って…そんな感想…ですよね?(苦笑)
わかります。
でも他に何と言えば良いのでしょう。
上手くて上手くて、上手すぎる、たとえ線一本でさえ、これほどの天才でないと無理であろう、表現できないであろう、説明できないものがそこにある。
そんな天才だからこそ、「上手」の先にあるものを掴み取りにいったのだと思います。
キュビズムへ辿り着かなくても、その時点で既に名誉も栄光も手に入ることは確約されていた。
それでも、更なる表現を突き詰めざるを得ないほど、手に余るほどの才能を持っていたのだと思います、ピカソは。
でなければ、凡人には
「目の前にある皿やフルーツを記号化してみよう」とか「折り重なる風景を敢えて平面的に捉えてみよう」なんて思いつくわけがない…
"綺麗に、立体的に、美しく"
「上手く」
描くことが「賞賛されるべき常識」であると疑わない世界で
その常識を、誰よりも綺麗に立体的に美しく描ける張本人が取り払うなんて
格好良過ぎる…
その精神は、パンクだなと
現代アートは、常識に抗う反骨精神だなと感じずにはいられませんでした。
また、ピカソ以外にも、
色彩だけで情景を想像させるクレー、アイコニックなアートに惹きつけられるマティス(この記事のトップ画像はマティスで私が好きな作品です)、瞼の裏にだけ存在するような闇を浮き彫りにさせるジャコメッティ、
20世紀のパンク(と私は勝手に呼ぶ)なアーティスト達の作品に酔いしれる。
アートに人生を賭けて奔走した者がいれば、
アーティストとしての宿命をこれでもかと全うした者もいる。
表現する者と、それを理解し愛する者
どちらの側面からも楽しめる美術展でした!
https://www.nmao.go.jp/events/event/20230204_berg/
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