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なつめの甘露煮 飛騨の郷土料理
隣町の朝市で、生なつめを購入しました。
そのまま食べると、
りんごのような甘酸っぱい味がします。
岐阜県飛騨地方では、
なつめの調理法は醤油と砂糖の甘露煮が
一般的なようです。
なつめを洗い、
鍋になつめ、多めのてんさい糖、醤油、塩少々、
ひたひたの水を入れて、火にかけ、
沸騰したら、おとし蓋をして、
弱火で30分ほど、煮ました。
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なつめは消化吸収の機能を正常にし、
気や血を補い、疲労や食欲不振によく、
カリウム、カルシウム、葉酸、
ビタミンE、B₁などの
ミネラルやビタミンを豊富に含みます。
五行説に基づいて配当された
すもも(李)、あんず(杏)、なつめ(棗)、
もも(桃)、くり(栗)は五果と呼ばれていて、
なつめは土の属性を持つ脾を
補助する果実にあたります。
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何年か前、
中国山東省のスーパーに立ち寄ったところ、
大きなケースに入ったなつめの乾燥果実が
量り売りされていて、
さらには加工されたなつめの商品も
大阪のスーパーのソース売り場に
匹敵するくらい、
何種類も大量に陳列してありました。
現地の方々がなつめを多用して、
日頃より消化吸収をつかさどる臓を
いたわっている様子を
垣間見ることができました。
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クロウメモドキ科ナツメの乾燥果実は
大棗(たいそう)という生薬で、
「脾の果」という別名があります。
大棗は精神不安や不眠にもよく、
甘草、小麦、大棗が配合された
甘麦大棗湯は
漢方の古典である金匱要略に
婦人の神経症に用いると記されていて、
現代では夜泣き、ひきつけに
保険適応されています。
食薬であるなつめの乾燥果実は
一部のスーパーや食料品店、漢方薬局でも
取り扱っています。
甘くて美味しいので、
お粥やスープ、お茶、
そのままあるいは餡にしてスイーツなどで、
食事に取り入れてはいかがでしょう。
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寒い雨の日でした。
なつめの甘露煮と一緒に、
菊芋のきんぴら、
春菊の胡麻和え、
里芋と胡桃の味噌炒めを作り置きしました。