奥村頼人(横浜高校2年)
最新情報:関東初登場の神奈川0.00左腕
無双モード突入の秋
いよいよ注目の奥村頼人が、自身初の関東大会でデビューする。神奈川大会ではチーム最多の5試合に登板し、1失点も許さない無双のピッチングを誇った。
チーム初陣でのバースデイ完封勝利を皮切りに、この秋は自己キャリアハイを記録する活躍を見せている。
投手成績の詳細は、下部の奥村頼人:全データで確認してくれ。
奥村以外も投打無双の横浜
開催地である神奈川チャンピオン校の横浜は、1勝すればセンバツ当確とされている準々決勝から登場するスーパーシードだ。
奥村以外にも、この秋は10人がマウンドに上がり、9人が防御率0.00と恐ろしいほど投手層は厚い。
残りの1人はスーパー1年生右腕の織田翔希だが、奥村に次ぐ登板数で防御率0.57を記録。総じて本大会6試合で3失点に抑えている。
打線も阿部や為永、1年生の期待株「池田聖摩」らが躍動し、チーム打率3割8分台と爆発。さすが新チームの横浜は、センバツ有力候補と騒がれるだけはある。
センバツ優勝候補の横浜
ちなみに過去5年間における、関東勢のセンバツ優勝は3回だ。
新型コロナで大会中止の2020年以前は、しばらく大阪桐蔭をはじめとする西高東低の時代が続いたものの、2021年以降は関東勢が巻き返しを見せている。
来春のセンバツも関東勢の躍進が期待されるなか、そのトップクラスに位置づけているのが奥村頼人を擁する横浜だ。
2年春から名門不動のエース左腕
神奈川代表として、夏の甲子園でベスト8の活躍を見せた東海大相模。
ゆえに話題は身長198cmの藤田琉生を中心に、大会第1号を放った柴田元気、さらには天才プリンスこと中村龍之介らで占めたなか、そんなタレント集団の前に大きく立ちはだかった男がいる。
2学年上の2023年ドラ3、今をときめく若獅子の成長株「杉山遙希」から名門横浜のエースナンバーを引き継いだ奥村頼人だ。
奥村頼人:プロフィール
阪神ジュニアを経験した少年時代
地元の少年野球チーム(高宮スポーツ少年団)で頭角を現し、高学年になると活躍の場を阪神タイガースジュニアに広げた奥村頼人。
阪神ジュニアは、NPB12球団ジュニアトーナメントの王座を決める選抜チームの1つで、他球団同様に動画選考を含む計3回のセレクションが待ち受けている。
歴代OBでは佐藤輝明や安田尚憲、はたまた内星龍ら5人のプロ野球選手を輩出。
他球団においても森友哉(オリックスジュニア)を皮切りに、藤原恭大(オリックスジュニア)や根尾昂(ドラゴンズジュニア)、さらには度会隆輝(スワローズジュニア)に前田悠伍(オリックスジュニア)まで出身者は幅広い。
中学時代は全国チャンピオンに
阪神ジュニアで培った経験を早々に開花させた中学時代。ボーイズリーグ1年生限定の関西さわやか大会で129チームの頂点に立ち、その優勝投手に輝いている。
この時の優勝メンバーには、阪神ジュニアで切磋琢磨する間柄にあった辻琉沙の名も。
履正社に進んだ辻はU15侍ジャパンに選ばれ、今夏の大阪予選ではアンダースローの二刀流として話題をさらった走攻守・三拍子タイプだ。
奇しくも中学2年生以降は、この双璧をもってしてもボーイズリーグの3大全国大会の本選に進むことはできなかった。いずれも代表決定戦で涙を飲んだ。
それでも3年時にはボーイズリーグ関西選抜の主力選手として、鶴岡一人記念大会の優勝に貢献している。
中野大虎(大阪桐蔭)と阪下漣(東洋大姫路)、そして奥村の三枚看板を擁した関西選抜が、4回コールドと圧巻のゲーム運びで有終の美を飾った。
父・奥村倫成氏
就任6年目で、三重県立白山高校を夏の甲子園に導いた東拓司監督。
甲子園に出場する2年前まで、夏の三重大会10年連続初戦敗退だった県立弱小校のミラクルな実話が、2023年にドラマ化され反響を呼んだ。
この下剋上球児の原作に、実は奥村頼人の父・倫成氏が登場している。
倫成氏も、かつて弱小チームだった県立野洲高校野球部の監督として、夏の滋賀大会準Vまで成長させた知る人ぞ知る郷土の名将だ。
公立野球部の底上げに身を挺する倫成氏は、当時まだ新鋭だった東監督の大きな支えとなった。
横浜高校では背番号10からスタート
地元を離れ全国屈指の精鋭が集う名門横浜に、いわば鳴り物入りで入学した奥村頼人。
入学直後の春季神奈川大会、続く夏の県予選はスタンド応援に回ったが、1年秋のチーム2戦目で公式戦デビューを果たす。
先発のマウンドに上がった奥村は、強打の向上を相手に3自責点と逆転を許し5回途中降板に終わるも、チームは延長10回タイブレークを制した。
好フィールディング
それでも次戦以降、奥村は全試合稼働で関東大会出場に貢献している。中学まで野手兼任で鳴らしたグラブさばきをもって、フィールディングの評価も高めた。
ムダがない柔軟な投球フォーム
ムダを感じさせないコンパクトなテイクバックから、しなやかな柔らかさを携えた投球モーションを経て繰り出す抜群の制球力は、まさに和田毅そのもの。
あるいは2学年上のエース、杉山遙希の投球を重ねてしまう人も少なくないはずだ。
もはやアートな牽制技
そんな奥村には、プロ顔負けの芸術的な牽制能力もある。決して四球で自滅するタイプではないが、ランナーを背負ってから瞬殺できる隠し技は大きい。
日進月歩の球速&奪三振
1年秋のデビュー当初は、そこまで速球派で鳴らしていた訳ではない。それが2年春には、コンスタントに直球140km台計測と飛躍的な成長を遂げている。
現時点で最速146km。このまま順調に成長曲線を描ければ、左腕での150km台到達も時間の問題だろう。
早くて翌春、奥村にとって初の聖地で夢の150kmが見られるかもしれない。この球速アップと比例するように、奪三振率も高めているのが奥村の真骨頂だ。
奥村頼人:全データ
秋季神奈川大会2023(準V)
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