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「筋肉注射って聞いてたからどんなに恐ろしいものかと思っていたけど……たいしたことなかった…
新幹線の車窓に流れる景色はいつもよりずっと早くて、馴染みの街でなければここまでつぶさに確…
僕は怠惰な人間だから、ありとあらゆる〆切を設定して生きてきた。何時迄に目を覚まし、何時迄…
黒衣として、舞台に立ってからもうしばらく経つ。正攻法で舞台に上がるために、僕はなにもかも…
あの日、山手線のホームは僕の思いと裏腹に閑散としていた。さびしさは鳴る、と言ったのは誰で…
「私はしがない、三途の川の艀でございます」 「……おじいちゃん、三途の川のはしけさんが、…
新幹線での移動は、僕を眠りに強く誘う。若い頃、それは過密日程によるものだと思っていた。たまにの旅行は、思わず予定を詰め込んでしまう。じゃじゃ馬のように動き回った末、眠りが寄り添うものだと思っていた。 それが、高速移動によるものだと気づいたのは最近のことだ。飛行機でも、新幹線でも、高速道路でも僕は途端に眠くなってしまう。 それは、時間が圧縮しているからかも知れない。もちろん、光速でないから時間が正確な意味において伸び縮みすることはない。それでも、元来人間が到底辿り着かなかっ
「……私にはやっぱり難しいです」 「おーけー、もういちど深呼吸をしてみて……五感を1つず…
また、電柱を殴ってしまった。 指の関節の痛みで目が覚める。見るまででもないのだが、一応確…
あの晩、僕は確かにあの騒音に救われた。 眠りを苛む不安に、僕は押しつぶされていた。葉脈の…
君は、グラスの底の世界が好きだった。ウイスキーを勢いよく喉に突き刺し、そのままグラスの底…
孤独には救いがない。孤独であることに気づいた時には、もうどうすることも出来ないからだ。 …
異郷に侵入する。他人の家に入る瞬間の感覚は他にかえがたい。整頓された家ならば穢したくなる…
バースデイ。誕生の奇跡を、再確認する一日。 君に、誕生日の記憶は不思議とない。君は、思索を深めるタイプの人間だからだ。自分の人生を振り返り、立ち返る。哲学的な一日となるから、記憶には残らない。 しかし、それでいいのだ。死ぬ迄ずっとそれでいい。そうやって、君の年輪は刻まれてゆくべきなのだ。 目が覚めた時、君は二十一歳になっている。冒険はまだまだ続く。明日は終わりではなく、一つの通過点に過ぎない。だから、歩をゆるめることなく、むしろ加速させて欲しい。君は、世界で唯一の君なの