電柱。
また、電柱を殴ってしまった。
指の関節の痛みで目が覚める。見るまででもないのだが、一応確認してみると基節骨の表面に痣ができている。また、電柱を殴ってしまった。
高校生の時、酒に酔った勢いで始めて電柱を殴った。あの瞬間の快楽は、まさに麻薬的に僕の脳内に刻まれてしまった。電柱は、僕の一方的な攻撃を一身に受け止めてくれた。僕は、電柱を殴り、蹴り上げることが癖になってしまった。
酒でも煙草でも避けることができない不安や葛藤も、電柱殴りをすることで解消することができる。それは、痛みを伴うからだと思う。痛みが僕に気付かせてくれることはたくさんある。
僕は今朝の痛みで、昨日の自分が馬鹿馬鹿しいことをまさに痛感する。もっとも、これは何度も繰り返されてきた。壊れるのは電柱が先か、僕の節々が先か。少なくとも、僕が電柱殴りをやめることは当分できそうにもない。