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図書費削減で図書館が消える!?
こんにちは! デジタルな図書館司書です。
今回は、図書館に関わる図書費削減について書いていきます。
長期にわたる図書費削減
多くの図書館では予算削減の一環として、図書費を削減する動きが進んでいますが、この傾向には大きな問題が潜んでいることをご存じでしょうか?
図書費の削減が図書館サービスに与える影響について、もう少し真剣に考えなければならない時期に来ていると感じています。
図書費削減がもたらす影響
図書費削減は、図書館運営の一部として行われることが多いですが、この決定は利用者にとって深刻な影響を与える可能性が高いのです。最も大きな問題は、「図書館の資料の質と量が減少すること」です。
図書館は、常に新しい本や資料を取り入れて、最新の情報を提供する場所です。しかし、図書費が削減されると、最新の書籍や必要な専門資料を購入する余裕がなくなります。これにより、利用者が求める資料が不足し、情報提供の質が低下してしまいます。
図書費削減が続くと、図書館の所蔵数が減り、特に人気のある本や専門書の貸し出しが制限されることがあります。これにより、利用者が図書館に足を運ぶ意味が薄れてしまい、他の情報源に頼ることになりかねません。
資源の削減だけでは解決しない
図書費削減が進む背景には、財政的な制約という理由があります。しかし、予算削減だけでは問題の根本的な解決にはならないことを指摘したいと思います。図書館は単に「コスト削減」を優先すべき場所ではなく、社会全体の学びの場として「未来への投資」と考えるべきです。
予算を削減することで短期的にはお金を節約できるかもしれませんが、長期的には図書館利用者の満足度が低下し、地域住民の学びの機会を奪ってしまうことになります。将来的にはコミュニティ全体の知識のレベルを下げ、教育の格差を広げてしまうリスクがあります。
図書費削減に関連する情報
飯田一史. "教育改革をして公共図書館予算を減らす政策の大矛盾 図書館予算増は税収増につながる". Yahoo!ニュース. 2022-07-15, https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a9190f105817aceb32f65c9a596f8b51c3e46136, (参照 2025-02-26).
田中敏. "CA1282 – 公共図書館の予算減がもたらすもの". カレントアウェアネス・ポータル. 1999-10-20, https://current.ndl.go.jp/ca1282, (参照 2025-02-26).
クラウドファンディングやデジタル化での解決策は不十分
最近では、図書館の財政問題を解決するためにクラウドファンディングやデジタル化が推進されていますが、これにも限界があります。クラウドファンディングは一時的な支援を集める方法として有効ではありますが、継続的な資金源を確保することは難しく、また寄付が集まらなければ資金不足が続くこともあります。
デジタル化についても、確かに便利で効率的ではありますが、すべての利用者がデジタルデバイスを使いこなせるわけではありません。特に高齢者や低所得層、デジタルデバイスを持たない家庭にとって、紙の本にアクセスできなくなることは深刻な問題です。
実際の事例から見る懸念
2023年に東京都上野の国立科学博物館がクラウドファンディングで1億円の支援を募った事例をおぼえているでしょうか?
結果的に1億円以上が集まることになりましたが、この方法はすべての図書館に適用できるわけではありません。博物館のように特定のプロジェクトに対して支援を呼びかける場合は成功することもありますが、日々の図書館運営においては、予算不足を一時的な寄付で補うことには限界があります。こうした方法だけでは、根本的な博物館、図書館運営の安定化には繋がりません。
博物館の予算削減に関連する情報
知野 恵子. "国立科学博物館はなぜ政府ではなく世間に助けを求めたのか…自称「博物館大国」の恥ずかしい現実". プレジデントオンライン. 2023-08-28, https://president.jp/articles/-/73235, (参照 2025-02-26).
図書館司書としての視点
図書館司書を目指しているあなたにとっても、図書費削減が進んでいく現状を見過ごすことはできません。もし、図書館司書として働くことになった場合、このような状況でどうすれば良いのかを考えることは非常に重要です。あなたが提供するサービスや資料の質が、予算削減により十分に提供できなくなってしまうと、利用者の満足度が下がり、最終的には図書館自体の存在価値を疑問視されることになりかねません。
まとめ
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図書費削減には賛成できない理由がいくつもあります。図書館は、単なる本を借りる場所ではなく、地域社会の教育や文化、情報提供の拠点です。予算削減を進めることが、一時的な経済的な解決策になったとしても、長期的に見れば利用者や地域社会への影響が大きく、図書館自体の役割を失わせてしまう恐れがあります。
私たちは、図書館が持つ社会的価値を再認識し、そのために必要な予算をしっかりと確保することが求められています。図書館を守るため、賢い選択をしていくことが必要です。