高校入試志願者の流動と定員の”歪み”《後編》
『私立高校等授業料無償化』の功罪について、というよりもう少しシンプルに、副次的な波及効果としてどのようなものがもたらされる(た)のか、の考察記事の《後編》です。
2024年4月に高校に入学する学年にとって、大阪府での志願者動向は例年稀にみる”歪み”が生じたという点は否定できません。
※日本社会全体における少子化の点は考慮対象外として以下展開します
まず第一に、至極自然な成り行きとして
◆志願者数につき、私立の方に集中しがち
ですね。このことは《前編》でも明示しました。
元来、諸要件によって志願者の意向は変わるわけなので、無償化施策がもたらす表面上の誘因については井戸端会議程度の話止まりな気がします。
◆公立高の【定員割れ】が多数発生
当該施策によりどの程度私立に志願者がシフトするのかを予想し、公立各校がその分の募集定員を減らす…なんてことはしていないでしょう。
事実、府内南部を中心に(人気校≒例年競争率高 ですら)〔志願者数〕<〔募集定員〕という結果に
~さらに、各校が『2次募集』というアクションで多大な(本来不要な)付帯業務に追われている、という点も無視すべきではない
◆「全員合格」で入学生の学力幅が拡大
『トップ合格』と『ギリギリ合格』との差は元から小さくはなかったものの、【定員割れ】≒受験者全員合格 では一層顕著に(~_~;)
その後のシナリオは・・・「授業についていけない」生徒が多くなる
◆授業レベルを下げる措置もあり得る
上記の実状変化に反応した公立高は〔配慮〕施策の一例として。
そしてそのことは、校内で成績上位の生徒たちにとって歓迎されるはずがない。
*** 入試の件に戻ると***
◆公立志願者が、自身の偏差値水準より”背伸び”して上位ランクの高校にチャレンジしがち①
出願時期に発表される『志願者/出願者状況』の数値で【定員割れ傾向】が分かるため、模擬試験等の『合否見込み判定』が例年の水準で厳しいものが出ていたとしても気にしなくてもよい実状になる。
※【定員割れ】≒受験者全員合格
◆上位にチャレンジしがち②
受験公立高が結果的にそこそこの競争率となっていても、「あわよくば”滑り込みセーフ”で合格」「もし不合格でも事前に合格しておいた(滑り止め)私立になっても無償だからまぁok」との心理性が高まっている
◆上記により、公立高相互で競争率に歪みが生じる
通学圏内のトップ校ばかりが競争率上振れ、二番手以下が定員割れ、という二極化が如実に。
~長期的に見れば、(前述各項総合的に)大学進学実績にも影響が及ぶ
*** その他の懸案 ***
◆無償化はあくまで授業料について、という点
私立はその他諸費用が嵩みがち…という要素が考慮されていない恐れ
~公立志向を潔く緩めて気やすく私立に進む親御さんが多いのでは?という老婆心は学校関係者においてもあり
幅広くそれぞれの立場の人にとって、副次的な要素にまで配慮思考が及んでいるのでしょうか?
前述諸件、施策決定者がデメリットを予見/認知した上で、だとは思えません。
いやむしろ、(一種の)少子化時代対処として、公立高の統廃合に拍車をかけるための意図的な企みなのでしょうか?
教育を受ける環境保全を真剣に第一に考えるのであれば、このような『無償化施策』のような介入はむしろ避けておく方が無難である ≒悪化するので余計なことはしてくれるな!🚫
ということへの”気付き”に近づいてほしいものです。
そもそも・・・
次の要件については、意外と話題に上ることがないままのようですが、【男女比】について無視すべきではないはず、です。
※どこかの大学の医学部が男子ばかりを優遇して合格者を出した…の事案とは全く別の論点です☝
『競争率』という数値がお馴染みで、学科やコース毎に〔定員(合格者数)〕と〔志願者数〕との否を算出して公開されるのが一般的です。
大学の場合は志願者の性別を考慮せずに総合成績順で合否判定するわけですが、公立高校の場合は(その学年の実社会数値に顕著なアンバランスが無いかぎり?)結果的に【男女均等数の合格者を出す】ようになっています。
ということはすなわち、志願者数における男女比に偏りがある事例においては、『男子の競争率』と『女子の競争率』とを区別して考慮しないと、受験者の性別によって難関度が大いに異なる(が、数値表面上に出されていない)という、本質から乖離している状態にあります。
➡これは、当事者にとって充分意識すべき、1つの大きな”気付き”ポイントです☝
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