定年後の仕事を定年前に考える――『ほんとうの定年後』の感想・レビュー
坂本貴志
『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う 』
を読みました
いやぁ、いい本でした。良書。
“人生100年時代”
“生涯現役時代”
“労働供給制約時代”
“少子高齢化”
このへんがキーワードとなっているのですが、
本書の内容を自分なりにまとめ、思ったことをちょっとのせておきます。
■ “小さな仕事”が日本社会を救う
本書の内容を、簡潔にまとめると、以下。
定年後も働かないとやっていけないよ。
とはいっても、年金にプラス5~10万くらいの月収、
そのような“小さな仕事”でかまわない。
しかも、多くの定年後の労働者は、その“小さな仕事”に満足しているというデータがある。ストレスのたまらない“小さな仕事”でかまわない。
また、“小さな仕事”は、個人だけでなく、社会にとっても意味がある。
少子高齢化においては、労働者が足りなくなる。
若者(労働者)が減り、高齢者(消費者)の割合が増える。
定年後、働かないでいることは、労働者から単なる消費者にかわること。
消費者に対して労働者が足りなくなる。特に地方においてはそれが顕著にあらわれる。
これを解決させるには、
外国人労働者の受け入れや、社会保障制度の充実に腐心するのではなく、
定年後も働く人を増やすこと。
そのためにも、社会は、“小さな仕事”の必要性を知り、リスペクトすること、働き方や給与を見直し、評価すること。何よりこれを、消費者側が受け入れること。
……と、ざっくりいうとこのような内容でした。
■ 「定年前」に「定年後」のことを考える
んー、
“定年”という言葉がタイトルにあるせいで、
定年前の現役世代や若者が、本書を読むのを後回しにするかもしれない。
それでは非常にもったいない。
定年前に読んだほうがいい。絶対そのほうがいい。
むしろ、定年してからこの本を読んでも遅い、価値が半減する。
この本は将来の人生設計を考えるうえで、めちゃくちゃ参考になる。
「10年後どうなりたいか?」と聞かれても、
「え、それって毎年考えなきゃいけないじゃん。
2024年は2034年のことを考えて、2025年になったら2035年のことを考えて……毎年考え続けることになるよね?」
でも、「定年後、60歳以降、どうなりたいか?」、
この問いかけだと、60歳という“定点”だから考えやすい。
個人的にはそう思いました。
ところで、この手の本って、定年後の実体験を交えて書いたり、
実際に定年した人が書いているイメージがあったのですが、
作者の年齢を知って驚いた。
著者である坂本貴志さん、1985年生まれだそう。とても若い。
いや、この年齢だからこそ、良いのかもしれない。
定年前の、現役世代の目線にたって書いているからこそ、“定年前”の人に響くのだろう。
***
にしても、こういう本って必須だよな、と思う。
読んで損はないというか、読まないと損をする。
あくまで統計データに基づいた本だから、すべての人には当てはまらない。
個人差は絶対にある。だから、すべては鵜呑みにできない。
しかし、自分の将来を考えたり、日本の社会を知るうえで、参考になることは間違いない。読んで良かったです。
ではまた。