何故かナウシカを感じさせる「ピュア」
<SF(53歩目)>
「行為」(SEX)の先の「ピュア」(純粋さ)を考える。
ピュア
小野 美由紀 (著)
早川書房
「53歩目」は小野美由紀さんの話題作。ノーガードで読みましたが、素晴らしくイケています。
最初の出だしはSF設定で、且ついまどき風味な文体で帯にある「エログロ」に持っていかれそうになった。
でも、単行本に収録されていなかった「身体を売ること」含めて丹念に読んでみると小野美由紀さんは「ピュア」と言う言葉にありきたりな「行為」(SEX)の先の純粋性を伝えたいと感じた。
エロいナウシカがいてもいいじゃない!と感じた時に、「行為」(SEX)の先の純粋性を感じました。
どの作品もテーマは「いま」話題のことばかり。
さすが売れっ子だと感じるが、色々な文体(とても器用)を駆使してSF設定で彼女が考える「ピュア」を伝えたいのだと感じた。
とても「愛(love)」が満ちていて楽しめた。
「身体を売ること」
貧富の格差、性の格差、色々な現代の「格差」の中から「ピュア」って何だろと考えた時に、この作品が伝えたいことは刺さる。
おススメです。
「ピュア」と「エイジ」
男女視点での関連する作品ですが、大切にしているものを守りたいという本能が伝わってくる。
なんか、読後感は古典作品の「椿姫」か「マノンレスコー」かと感じた。素晴らしい。
「バースデー」
この作品の視点は「いま」だと感じました。
ジェンダーを描く作品は色々と読んだが、とてもわかりやすく、伝え方がうまい。読ませてくれる。
「幻胎」
SFど真ん中の作品で、描写がとてもうまい。
これも「ピュア」って何だろ!?への回答だと思う。
小野美由紀さんの才能って素晴らしい。
次作も期待な作家です。
また、ちょっと「愛(love)」に錆びついたSF者にも読んでもらいたい。
文体で、食わず嫌いになるには「モッタイナイ」です。
新しい「才能」を素直に楽しんでみると「いいね!」です。
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