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兵器開発の近未来SF「富士学校まめたん研究分室」

<SF(61歩目)>
読み口はとても軽いSF作品、でもちょうど時代が追いついている。現代の戦争の主役の入れ替えを描いています。

富士学校まめたん研究分室
芝村 裕吏 (著)
早川書房

「61歩目」は兵器開発の最前線、ゲーム作家でもある芝村裕吏さんが描くとリーダビリティが良いスピード感のある作品に仕上がる。
でも、突いていることは真剣です。

男女間は、安定の芝村さん設定で、アラサー天才工学系女子が主人公。
ここで起きる問題は、何故か日本の女性に「あるある」と思わせるもので、とても日本的。

しかし、大きな展開では現代に起きている紛争で使われている無人兵器の開発の問題に触れている。

開発は、ビジネスになっていて、効率性とコストの兼ね合い。
そして運用では安定が強く求められている。
この最前線の物語になっていて、とても現実感あり。

あまり飛躍した技術の集合体ではなく、近未来に同様なものが実用化されると感じました。

するとSFエンターテイメントの中に深く突いてくるものがある。
「マージナルオペレーション改」と絡むのですが、遠い未来のSF作品ではなく、本当に近未来で実現化されそうな作品であり、同じく近未来を得意分野とする藤井太洋さんの作品同様に、突いているところは鋭い。

ちょっと、ライトなSFを敬遠しがちなSF者の方々にも突いてくるところがある作品です。

芝村作品のお約束の「あるある」恋愛世界もまるごと味わって、次の開発の世界(低コスト兵器の大量運用)を味わうと面白いと思いました。

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