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人間の救済を考えるSF「ブロの道: 氷三部作1」

<SF(39歩目)>
100年以上前の「ツングース大爆発(シベリアに隕石が落下した)」から、人間の救済を考える。(カルトを学ぶ)

ブロの道: 氷三部作1 (氷三部作 1)
ウラジーミル ソローキン (著), Vladimir Sorokin (原名), 松下 隆志 (翻訳)
河出書房新社

「39歩目」は文学の「2歩目」で紹介した「吹雪」を書かれた、ロシアのベストセラー作家のウラジーミル・ソローキンさんの大作。三部作で「氷三部作」と言われいますが、この「第一部」だけでも完結したすごーいSF作品になっています。

この「ツングース大爆発」はSF界では王道のプロットであり、ロシアでも。そしてアメリカ・イギリスでも。そして私たち日本でも多くの作品に描かれています。

日本でも作品が非常に多いのですが、最近では「ケロロ軍曹」にも登場で、アニメの世界にも進出しているので、よく知られた天体現象になっています。

しかし、その実態はまだよくつかめていないようです。
※何しろ、落ちた場所はほぼ人跡未踏の地(21世紀の現在も)。そしてこの当時は日露戦争の終了後で、第一次世界大戦とロシア革命前夜。もっとも、ロシアにとってゴタゴタしていた時期で深い調査はされなかったようです。

そしてこの言葉で始まるのが震撼する。
「そして私は人間の本質を理解した。人間は肉機械だ。」

この理論が、この作品の本質です。「心を取り戻した選ばれた23000人の『兄弟団』」の未来はどうなるか?このSFからは宗教で言う「救済」の物語で、突き詰めていくと「カルト」が多くの人間から何故大きく乖離するのか?に繋がります。

カルトは、日本でも、勿論ロシアでもアメリカでも、何処にでも存在すると思います。

私は、この成長の過程をこの作品から学びました。
「カルト」に取り込まれやすい年代の大学生の娘たちにも読んでもらいました。

SF作品であり、帝政ロシアからの伝統のロシア文学でもあり、そしてテーマは現代社会の病巣です。ちょっと軽くは読めない作品ですが、とてもおススメです。

究極のカルト集団をテーマにしたSFです。

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