すごい才能で民族問題を考えさせられる短篇集「騎兵隊」
<文学(117歩目)>
一つの地域に複数の民族が重層的に暮らすありさまから、現代につながる色々な諸問題を考える作品。
騎兵隊
イサーク・バーベリ (著), 中村 唯史 (翻訳)
松籟社
「117歩目」は、イサーク・バーベリさんの短篇集。
この作品は、若きイサーク・バーベリさんが文学の題材を見出すためにソヴィエト・ポーランド戦争に従軍して生まれた。
もちろん、バーベリさんが考えるようではなく、現実は非常に厳しく凄惨な現実を否応なしに体験する。
その中で、戦争の現実を描く「散文」とヴォルイニ地方(現ウクライナの北西地域)での自然と「生」を「詩」で描く二重構造の作品になっています。
そして、この中で古代から帰属が変わってきたことにより、一つの地域に複数の民族が重層的に暮らすありさまが描かれています。
その中には、現代のロシア・ウクライナの紛争の原因になるものあり。
あるいは、東欧ユダヤ人にかかわるいろいろな諸問題(虐殺の対象であり、嗜虐性を掻き立てる標的として)が描かれている。
一筋縄ではいかぬ、地域であることが、バーベリさんによって、まるでタペストリーのように鮮やかに描かれています。
それぞれがとても短いのですが、現代にも通じる問題を考えるうえでとても重要だと感じました。
また「解説 バーベリについて 「騎兵隊」まで」は翻訳者の中村唯史さんによるものですが、背景等を読み取るのに役立ちました。
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