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mojamojataron
タイムスリップもののSF作品以上に心を突く「キンドレッド」
<SF(182歩目)>
SF設定なのですが、それ以上にアメリカにおける現代文学として素晴らしい。
キンドレッド
オクテイヴィア・E・バトラー (著), 風呂本惇子 (翻訳), 岡地尚弘 (翻訳)
河出書房新社
「182歩目」は、オクテイヴィア・E・バトラーさんのオリジンである黒人の主人公のデイナが南北戦争前の奴隷制度のアメリカにタイムスリップする作品で、「奴隷制度」が何たるかを突く作品。
でも、バトラーさんはこの作品から「奴隷制度」のことだけではなく、「Kindred(キンドレッド)=血縁による親族」の意味を問う作品になっている。
SF設定の中で、何度も未来の自分自身の存在が消されてしまう危機に対峙する。この過程で、「自分自身のキンドレッド」は未来に生まれる自分自身が決定できることではなく、未来の自分は受け入れるしかない。これをSFで描いている。
もう制度として否定されている過去の過ち。
しかし、制度として否定されても根強く残る社会。
「奴隷制度」は終わるが、人種差別が残っている社会だからこそ、バトラーさんが伝えたいことはとても重い。
バトラーさんの他の作品も読みたくなりました。
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