子どもにかかわる現代の寓話「きらめく共和国」
<文学(178歩目)>
ちょっと他にはない現代の寓話で「文体」で、読んでいるうちに引き込まれる。驚きの作品です。
きらめく共和国
アンドレス・バルバ (著), 宇野 和美 (翻訳)
東京創元社
「178歩目」は、スペインのアンドレス・バルバさんの明るくかわいらしいカバーのイメージと異なり、考えさせられる作品。
最初は「ハーメルンの笛吹き男」みたいな作品なのかな?と思いました。
明るく、かわいらしいカバーが何を意味しているのか?中盤まで読み取れなかった。
実話か?寓話か?等々に最初はこだわったのですが、途中から「子ども」について著者が伝えようとしていることがひしひしと伝わってくる。
薄い本ですが、途中からは考えすぎて読み進むスピードは落ちていき、心に刺さっていきました。
ピュアゆえに、透徹した暴力性も兼ね備えた存在である子どもたち。
大人の無関心が、何も書かれていないノートにどんどん純粋さと暴力性を書き込んでいく。そんなときに大人は何をしておかないといけないのか?
熱帯のギラギラした光と、濃密な緑、そして凶暴な暑さが相まって独自の作品に昇華しています。
アンドレス・バルバさんは初めてだったのですが、子を持つ親として考えることを無意識のうちに拒絶していたことが、あらわになる。そんな作品でした。
色々な本を読んでいるのですが、ちょっと他にないユニークな作品でした。
心を強くひっかく作品です。
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