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声をあげることの大切さが伝わる素晴らしい紀行文「傷ついた世界の歩き方」

<文学(204歩目)>
紀行文としても素晴らしい。そして社会問題への無関心への強い警鐘が伝わる作品です。

傷ついた世界の歩き方:イラン縦断記 (エクス・リブリス)
フランソワ=アンリ・デゼラブル (著), 森 晶羽 (翻訳)
白水社

「204歩目」は、フランソワ=アンリ・デゼラブルさんの素晴らしい紀行文。

帯に書かれていた「女性、命、自由!デモの叫び声が響くテヘランで、ニコラ・ブーヴィエの名著をたどりなおす冒険が始まる―。」で、思わずそのまま購入。

「ニコラ・ブーヴィエの『世界の使い方』」を間違いなく手にしてしまう。

紀行文が好きなので手に取ったのですが、紀行文としての価値以上に社会の問題点への無関心への警鐘を強く感じた。
心、感受性が若返りました。

文中にあるマルティン・ニーメラー牧師の心情

「ナチスが共産主義者を連行したとき、私は黙っていた。
共産主義者ではなかったからだ。
社会主義者を連行したとき、私は黙っていた。
社会主義者ではなかったからだ。
労働組合員を連行したとき、私は黙っていた。
労働組合員ではなかったからだ。
そして、彼らが私を追ってきたとき、
私のために抗議する者はもう誰一人残っていなかった。」

「傷ついた世界の歩き方:イラン縦断記」
P.76-77 「エスファハーン」より

この魂の叫びが痛切に突き刺さる。

無関心でいることの問題が全編を通じて読者に突き付ける現実。

訪問が難しいイランの地方から、感受性が豊かな作家であり、プロアイスホッケーの選手。フランソワ=アンリ・デゼラブルさんの旅はとても美しく、とても愛があって切ない。

この本が初訳とのことですが、もっと読んでみたい作家です。

特に、鮮やかなのは下記の4章でした。

「バムへの道」
「ケシート」
「ザーヘダーン」
「サッゲズ」

この4章だけでも素晴らしいです。

女性の視点、命を賭す、自由の意味、デモの声。
とても興味深い紀行文です。

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