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ヤスミナ・カドラさんの世界を理解するために「部族の誇り」
<文学(192歩目)>
ヤスミナ・カドラさんの世界を理解する道しるべになる作品2。マグレブ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)の文化が見えてきました。
部族の誇り (叢書〈エル・アトラス〉)
ラシード・ミムニ (著), 下境真由美 (翻訳)
水声社
「192歩目」は、ラシード・ミムニさんによるマグレブ諸国、特にアルジェリアの伝承の世界。
この作品は、ヤスミナ・カドラさんの「昼が夜に負うもの (ハヤカワepi ブック・プラネット)」を読む際に、どうしても理解不足で悶々としてしまうこと。これが氷解しました。
「許す」(社会・家族・友人・恋人)とは「昼が夜に負うもの」
アルジェリア独立後、近代化の波は否応なしに辺境の村ジトゥナの部族にも押し寄せてくる。伝統は変わり、生活は便利になり、村は豊かになっていくのか? 創建時代からの村の物語。
最初はとっつきにくいところありましたが、次第に引き込まれてしまいました。
近代化と部族世界、どちらがいいのか?というと私が前者なのですが、ここに至るまでに各文化圏において一歩ずつ進む変化あり。これが、特に知らないマグレブ諸国において、どのような意味を持つのか?
とても丁寧な文体で、読みやすい作品になっています。
「伝統」とは、カンタンに捨てられない。
でも、全体の幸福のために否応なしに進歩はしていかないといけない。
ここで長老たちが「何を伝えたいか」が明確に見えてくる作品です。
例えば、私が愛するヤスミナ・カドラさんの「昼が夜に負うもの (ハヤカワepi ブック・プラネット)」ですが、この背景を学ぶ前は表層を撫でていたかの様でした。このミムニさんの作品により、重厚な背景が見えてきました。
変化の際には痛みが伴う。これを旧世代の方々が、どのようにして乗り越え、どのようにして伝えていったのか?
これが見えてきました。
ちょっとマイナーですが、読んでよかった作品です。
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