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心が「愛(love)」で打ちのめされました!「帰りたい」

<文学(32歩目)>
この作品の「衝撃」を共有したい。打ちのめされる「愛(love)」を考える。

帰りたい
カミーラ・シャムジー (著), 金原瑞人 (翻訳), 安納令奈 (翻訳)
白水社

「32歩目」はイギリスの衝撃作です。

現在、イギリスでは首相はインド系、ロンドン市長はパキスタン系で、日本では考えられないレベルで多様性・異文化がしっかり根付いているように「見える」。

でも、まだ過渡期ですから色々な軋みがある。これが踏まえられている「最高」の作品です。

作者のカミーラ・シャムジーさんとは初めての出遭いです。

帯に、翻訳者が「ここ数年間で出会った翻訳作品のなかで最も衝撃的で、切なく、心を打たれた作品です。」とあって、スレた私は、「翻訳者が自分の作品をおススメしてもなぁ・・・」と思ったのですが、読後まさに「帯」の内容がズドーンと錆びた心に届きました。

心の錆が落とされて、生まれ変わった気分です。

最初は、シンプルにシャムジーさんの筆力に促されるまま、読んで衝撃を受けることをお勧めします。

そして、イスラムのことを考える。あるいは、身近な少数者(日本、あるいは東京では、イスラムは少数派です)を考えること。ここを考える契機になるような作品です。

私事ですが、東京のイスラムの方々のお祭り(ラマダン明けを祝うお祭り)に呼ばれて、伺っています。宗教だけで結びついた方々がともに「ラマダン明け」を祝う。エキゾチックなお祭りです。

まるでよくわからなかった世界なのですが、国籍に関係のない(国籍に関係なく、且つ修派等も関係ない大きなソサエティは初めての経験でした)人間関係であることを感じました。それと同時に思っていた以上に東京にもイスラムの方々が多いことも知りました。

イギリスでは、先のIS(イスラム国)が問題になっていた時期に、ブリティッシュムスリム(イギリス国籍のイスラム教徒)が、その外見や宗教への立場から偏見にさらされていたようです。

同一のイスラムなのですが、尖鋭的な集団と穏健的な集団(もちろん、多数派)との軋轢は、同じ祭りを祝う中でも立場の探り合いになっていたようです。

勿論、多くの方々はその地に溶け込み、その地のルールに適合して生活しているのでしょうが、時に尖鋭的な集団が「巧妙に勧誘してくる」。

特に人生の経験の少ない「若者」を集めることについては、子どもを持つ親としても他人ごとではありません。

ちょっと素晴らしい作品です。

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