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この短篇集は厚めですが、テーマが深いです「どれほど似ているか」

<SF(192歩目)>
さらりとはいかない、深いテーマを突いている作品集。読んで得られる視点が多い。感謝です。

どれほど似ているか
キム・ボヨン (著), 斎藤 真理子 (翻訳)
河出書房新社

「192歩目」は、キム・ボヨンさんの現代社会を切り取ったSF作品集。

「0と1の間」
最初に、人類がいつまでたってもタイムマシンが作れないことを証明。
ここから、始まるが、この作品集で一番強い気持ちが伝わる作品でした。
シンプルだけど、韓国の社会問題がたくさん入っている。
勿論、日本にも同じ問題がある。

SF設定で、社会問題をつく鋭さはキム・ボヨンさんの魅力だと思います。
短篇でも、鋭い切っ先で時間も国も超えて届く刃がある。これからも、新作を待って読む作家のひとりです。

「静かな時代」

韓国でも、そして日本を含む多くの国でも「選挙」は世の中が変わる大きなイベント。

現代社会を切り取って、考えさせるツールとしてSF設定含めて駆使されていることを感じた。日本の政治状況ならば?どんな作品を描くのだろう。
勿論、キムさんは政治小説ではなく、政治の世界にかかわる理解度は低いと謙遜されると思うが、切り取り方はとてもシャープ。描いてもらいたいと感じました。

「どれほど似ているか」

災害にあったタイタンを救助に行くSF。ミステリ要素を巧みに使いキッチリ書かれていて一番引き込まれる。

この作品で描いている歪みは何のことを指すのかな?韓国の状況は完璧に理解しているのではないが、この作品は日本人設定でもぐさりと突きます。

キム・ボヨンさんの作品がもっと読みたいです。

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