単なる紀行文ではなく、すごい作品「サハラの歳月」。人間の本質を突かれる作品です。
<文学(151歩目)>
素晴らしい自然、素朴な人々。とてもいい作品です。
サハラの歳月
三毛 (著), 妹尾 加代 (翻訳)
石風社
「151歩目」は、台湾の三毛さんのすごい作品です。短篇集ですが、その中にダイヤモンドが入っていました。
実は、三毛さんを全く知りませんでした。気分転換で砂漠の作品を読んでみたいと思って、何気に手に取りましたが、最後は夢中になっていました。
「台湾・中国で一千万部を超え、数億の読者を熱狂させた」とありましたが、これは本当で、私も数億の読者の一人になりました。
この短篇集は、前半が「サハラの物語」という西サハラを舞台とした女性目線のみずみずしい紀行文。後半が「哀哭のラクダ」という西サハラで三毛さんが感じたことが描かれている作品。
この構成を知らずに読み進めたので、後半の「哀哭のラクダ」に入ったところから衝撃でした。
特の最後の「聾唖の奴隷」「サバ軍曹」「哀哭のラクダ」を素晴らしい。うなりました。
「聾唖の奴隷」
この作品で、ギアが確実に変わった作品でした。それまでが、西アフリカの自然を感じる作品で質の良い紀行文の感覚で読み進めていたのですが、何気に「聾啞の奴隷」に入った途端に人間の本質を突く作品になりました。
「母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅 サイディヤ・ハートマン 晶文社」で学んだ、「奴隷制度の本質」が鋭く描かれている。
思わず、ギアチェンジについていけずに、3回も読み返したしまった。
素晴らしい。
若い時に読んでおく作品だと感じました。とてもいい意味で「想定外」でした。
「サバ軍曹」
同じく、読み進める中で衝撃的でした。
色々な辺境の中での作品、「プラトーノフ作品集 アンドレイ・プラトーノフ 岩波文庫」に出遭った時と同じような衝撃を受けました。
短篇ですが、心に訴えるものがとても大きい。素晴らしいです。
「哀哭のラクダ」
「聾唖の奴隷」「サバ軍曹」と続いて、心に受け入れの素地が出来上がっていたからだと思いますが、この「哀哭のラクダ」も西サハラを考えるうえで、そして様々な紛争を考えるうえですごい作品です。
隣国ですが、アルジェリア人からフランスに帰化されたヤスミナ・カドラさんの一連の作品「カブールの燕たち ヤスミナ・カドラ 早川書房」「テロル ヤスミナ・カドラ 早川書房」「昼が夜に負うもの ヤスミナ・カドラ 早川書房」を読んだ時に考えさせられた人間の本質を突く作品です。
ノーガードで挑んだために、驚きが大きかったです。
この様な作品が、隣国の台湾から出ていて、台湾でも、中国でも多くの方々に読まれていることを知り、文学の力は素晴らしいと感じました。
紹介してくれた妹尾加代さんと石風社に感謝です。三毛さんは既に亡くなられているのですが、三毛さんの感性をもっと紹介してもらいたいと感じました。
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