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読みやすいが、難しいフィリップ・K・ディックさんの世界「フロリクス8から来た友人」

<SF(187歩目)>
ディックさんが感じていた50年前のディストピア社会。ちょっと怖いです。

フロリクス8から来た友人
フィリップ・K・ディック (著), 大森望 (翻訳)
早川書房

「187歩目」は、フィリップ・K・ディックさんによるディストピア社会を描いたSF作品。

ただし、ディックさんがSF作家として地位を確立されているからSFテイストで描いただけで、本質的にディックさんが感じていた行きつくところまでいった世界の恐怖を描いている。

商業的に成功させる制約の中で、もちろんヒロインが出てきて。。。なのですが、本質的に半世紀程度前の1970年にディックさんが感じていた自由主義、資本主義の問題点を描いていると感じた。

新人(高い知能を持つ人々)と偉人(超能力を持つ人々)が世界を支配する中で、その他大勢の旧人(普通の人々)からの階級闘争。新人になるには試験がある。まるで科挙制だ。それぞれはテストの成績で、また階級があり、その階級に人生が大きく制約される。

この解決策として期待されるのが大多数の人々が所属する旧人の期待の星のプロヴォーニさんと異星人。

色々なエピソードで風呂敷を広げすぎて、肝心の階級闘争の解決策が唐突すぎた気もします。

ディックさんが苦悩している時代の作品とのことですが、商業的な成功を求めているからこそ、読みやすい。しかし、最初に取り組むディックさんの世界という観点で見ると「ちょっと難しい」と感じました。

ディックさんの世界に傾倒している方ならばOK。しかし、最初の作品にするとディックさんの世界を誤解してしまう気もしました。
面白い作品。しかし、かなり難しい作品でもありました。

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