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「愛(love)」が大量「希望のかたわれ」

<文学(75歩目)>
ちょっとマイナーなドイツのミステリー文学。ウクライナとヨーロッパの闇を描いていて、注目を浴びて、刊行時よりもイイ感じの作品になっている。

希望のかたわれ
メヒティルト ボルマン (著), Mechtild Borrmann (原名), 赤坂 桃子 (翻訳)
河出書房新社

「75歩目」はドイツのメヒティルト・ボルマンさんの単なるミステリーではない、福島原発の事故を経験した日本人には刺さる作品。とてもリアル。

この本はある事件に巻き込まれて打ちひしがれていた時に、友人が勧めてくれた作品。

読み始めて、「おいおいなんだ、俺を『最悪の底までおとすための作品か~』」と感じました。
※後から誤解とわかるのですが、はじめは「重たい内容」で「いじめ」と感じました。(笑)

ちょうど、ウクライナでコールセンターを立ち上げた時期とほぼ同じ時期のウクライナが舞台の作品。ミステリーテイストの文学作品ですが、ウクライナの深い闇の話なのです。

色々な人に助けてもらい、ウクライナには感謝しています。
しかし、国家としての闇は非常に深い。援助しても、どこからか流れ出して決して必要なところには届かない。その核心部に迫っています。

また「ゾーン(ロシア語的には「ゾーナ」)」(旧ソ連圏独特の外界と遮断された地域)が絡む物語で、滞在して感じた「国土の広さ」が広すぎる故に些細なことでなんでも「ゾーン」になる特殊な旧ソ連の世界。
※基本的に、お上が「立ち入り禁止」とすれば外界と一切遮断できるのがこの辺りの国々。(怖)

こんなところなんかあるわけないでしょ。が、ままあるのがここら辺。とてもリアルに描かれています。

それぞれの目的に応じて「ゾーン」はいくらでもできる。おそらく、中の人にしかうかがい知れないと思われる。

そんな秘密の「ゾーン」の一つがかかわる物語。特に、ボルマンさんの構想が福島原発の事故で着想を得たとのことで、あ~そうだね。と感じながら読み進めた。

「生きること」「愛すること」が人間の根底を流れていることがわかる素晴らしい作品です。読後、かなり強い印象を残すため、2022年のウクライナ紛争時に再読しました。

うん、この作品にも描かれているが、ウクライナの戦後は大量に流れた武器が、西側の全面援助が切り離された(見捨てられた)と感じる人たちにまた流れると思う。

すると、他のアメリカが支援した多くの紛争国と同じく、とても不安定な地域になると懸念。あ~あの美しい国が・・・の原因もこの作品から類推できます。

マイナーなドイツ作品ですが、この地域に関心を持つ方には「生きること」「愛すること」が描かれていて「超おススメ」です。カバーの絵が、読後に心に刺さります。

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