#夫婦
【知られざるアーティストの記憶】第94話 コロナ療養中に深まった夫婦の絆と、O病院からの連絡
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
→前回
第13章 弟の死
第94話 コロナ療養中に深まった夫婦の絆と、O病院からの連絡
2022年2月21日、マリはようやく熱が治まるとともに、市内や近隣の公団を調べて、希望に合う物件に片っ端から応募した。夫と
【知られざるアーティストの記憶】第93話 ニラ入りの味噌雑炊とロミオとジュリエット
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第13章 弟の死
第93話 ニラ入りの味噌雑炊とロミオとジュリエット
「ニラが入った味噌味の雑炊が食べたい。」
体の痛みに耐えながら眠り続けるマリは、かろうじて食欲はあったので、夫にそんなリクエストをし
【知られざるアーティストの記憶】第85話 キミの仕草が女らしく見えて
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第12章 S医院に通う日々
第85話 キミの仕草が女らしく見えて
この言葉は、彼と初めてS医院を受診した2022年1月27日にマリがノートにこぼしたものだ。彼には伝えていない。彼は「もう生きているのがイ
【知られざるアーティストの記憶】第80話 様々な愛
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
→全編収録マガジン
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第11章 決断
第80話 様々な愛
三畳の居間にキラキラと差し込むまだ淡い朝日が、砂壁の色とざらざらとした質感を最もありのままに跳ね返すので、マリは普段は居ることのない時間帯にこの部屋にいるのだというこ
【知られざるアーティストの記憶】第79話 真夜中の話し合いと、早朝の話し合い
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第11章 決断
第79話 真夜中の話し合いと、早朝の話し合い
マリはこのとき夫に伝えようとした唯一の言葉を、喉から解き放つことに苦心して、約30分間も逡巡した。
「え、なに?どうしたの?」
時々、しびれ
【知られざるアーティストの記憶】第78話 マリの自転車とシャンソン
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第11章 決断
第78話 マリの自転車とシャンソン
マリは自分の自転車を、普段はカバーをかけて自宅の壁際に沿わせて停めていた。しかしその日は、あとでまた使う予定があったのか、片づけるのを横着して塀の外側
【知られざるアーティストの記憶】第54話 マサちゃんの転院
Illustration by 宮﨑英麻
*彼は何も遺さずにひっそりとこの世を去った。
知られざるアーティストが最後の1年2ヶ月で
マリに遺した記憶の物語*
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第8章 弟の入院
第54話 マサちゃんの転院
2021年11月2日、脳神経外科に特化したK病院に入院していたマサちゃんは、高齢者の認知症などを多く受け入れる精神科専門のO病院に転院することになった。
【知られざるアーティストの記憶】第29話 マリと夫
→全編収納マガジン
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第5章 入院4クール目
第29話 マリと夫
マリと夫は、傍から見ればごく普通の、比較的仲の良い夫婦だった。結婚して18年経ち、19年目を迎える年月は、あっという間に過ぎ去ったようでもあり、そこにはぎゅっと凝縮された何かが積み重なっているようでもあった。
夫はマリよりも10歳上で、マリが初めて務めた生協で、新人のマリを教育する係の上司としてマリの前に現れたのが出会