【短編小説】猫と出会った男の話1
あるとき、男は猫に会った。
仕事帰りに毎日のように寄るコンビニの駐車場に痩せた白黒の猫がいて、
目ヤニだらけの眼で恨みがましく男が買った弁当をビニール越しに見ているのだ。
辺りには猫と男しかいない。
男はしゃがんで弁当を開けると唐揚げを一つ、猫の方に転がした。
猫は男を睨んだまま唐揚げを食べた。
その場を去ろうと立ち上がって向きを変えると、目の前に猫がいた。
驚いてさっきまでいたであろう所を見ると、唐揚げの衣が残っていた。
男は住んでいるアパートがペット可の物件であることを