Kawai Project vol.5『お気に召すまま』観劇(9/7 13:30)
先の投稿でも記した通り、Kawai Project vol.5『お気に召すまま』を観てきました。このノートは公演についての雑記です。ストーリーについてのネタバレは含みません。
基本的には思ったことアレコレを語るだけの記事ですが、記事の後半では、衣裳のテイストに関する話や、東京公演の会場であるシアタートラムでのステージ・客席の作り方について触れていますので、一切のネタバレ無しで埼玉公演に向かいたいという方はご注意ください。
今回は予習ナシで観劇。
この公演に先駆けて、散々テキストノートを投稿しておきながら、結局予習ができませんでした。新刊を買い、常に携帯し、しかし読むだけの時間が捻出できず。それはそれは悔しい思いをしながらの観劇となりました。
記事を書いていたから読む時間がなかったとも言えるのでどっちがいいんだかわかりませんけども、今の私は記事を優先したという。登場人物の関係とあらすじくらいは把握しての観劇だったけれども……ああ悔しい。それが後にどう影響したかも含めて記したいと思います。
キャッキャする女子が可愛くて!
いやぁもう、これは本当に!恋してキャッキャする女子(※生身の美形)とかもう、反則でしょう!眼福!浮かれる女子のかしましさが可愛くて愛おしくて。お美しい太田緑ロランスさんと愛らしい山﨑薫さん、お二人とも少女漫画の登場人物のよう。そして、本当に仲の良い従姉妹のよう。
そして驚いたのは、ルックスやタイプがまるで異なるお二人なのに違和感がなく、むしろ視覚的にキャラクターがハッキリ認識できるため、結果的に作品・ストーリーへの理解が促されるという点。これはキャスティングの妙。
見目麗しく……カワイイ女子が大好物な人は絶対観ておいた方がいいよ!可愛いいきもの(※技量はモンスター)がキャッキャするから。なんだここ天国かなにか?っていうレベルだから。
太田緑ロランスさんのこと、山﨑薫さんのこと。
この舞台ではそんな美形の演劇モンスター2人が惜しむことなくあの手この手を繰り出してくるわけですよ。声も言葉も表情も動作も空気感も何もかもだよ。こんな贅沢がこの値段(一般 4,000円/U25 2,500円/高校生以下 1,000円)でいいんだろうか。
太田緑ロランスさん(ロザリンド)は序盤・中盤・終盤の3スタイルどれもうっとりするのですが、中盤はおもしろいのに可愛いし、終盤は「アレ」が「アレ」して「アレ」なものでだから目が離せないし、うっとりするし。山﨑薫さん(シーリア)はとにかく始終愛でていたい愛らしさで、そこへちょいちょいゆるキャラ的な可愛らしさとかおもしろさとか、また別の強みを挟んでくるからズルい!っていう。ちなみに、私が前回山﨑さんのお芝居を拝見したのはマクベス夫人ですからね、ギャップたるや。そんなん舌巻くわ!(笑)
玉置玲央さんのこと。
玉置玲央さん、お名前は存じていたものの、実際に舞台を拝見したのは今回が初めて。あれですね、特に注意を引くような場面でなくとも、とにかく追いかけてしまいますね。身体能力ゆえ?いいえ、それだけではなく。視線を奪われる。存在感と芝居そのもので目が離せないほど引き付けられるのは久しぶりな気がします。っていうか、シェイクスピアだからとかそういう理由だけではなしに、Kawai Projectって若い演劇モンスター多過ぎじゃない!?
Lutherヒロシ市村さんのこと。
うわぁあ!エンターテイナーだ!多才な方だ!と度肝を抜かれる。そしてセクシー。低音というのがまたとても魅力的でうっとりしつつ、ステージにすんごい近いのに巻き込まれずオイシイ思いができる席(笑)でしたのでそりゃまぁ凝視しちゃったわ。「華があるってこういうことなのだな」と思った。すんごい。
ここからは舞台周りで目についたこと・気がついたことをすこし。
再度の注意書きになります。これ以降、衣裳のテイストに関する話や、東京公演の会場であるシアタートラムでのステージ・客席の作り方について触れていますので、一切のネタバレ無しで埼玉公演に向かいたいという方はご注意ください。
衣裳のこと
既にステージナタリーさんの記事で舞台写真をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが。今回、衣裳がよかった。写真では細部や質感が伝わらないのが残念ですが、生で見ると素材感や細部の色彩などが素敵です。シルエットとラインは好みが別れると思うし、それで言うと私の好みではなかったのですが、それでも抜群にハマっていたと感じるし、ゆえに作品の世界にすんなり入り込めました。
パッと見て「その時代に寄せた衣裳」だとわかる。これが新鮮でした。シェイクスピアの、その時代に寄せたアートワークで飾られる舞台って、ありそうなのに意外とないのでは?
今回のアートワークの特色って、必ずしもそのものズバリではないけれど、「シェイクスピア作品」といわれて人々が思い描く世界観を具現化しているところにあります。舞台を彩る様々な要素が当時を強く意識し、再現するような構成になっているのだけれども、初心者であってもすんなり受け入れられるように作られているということに驚きました。各セクションが、印象やイメージをデザインし、うまいことコントロールしてくれているのだと感じました。
……って言っても、あくまで一個人の感想であり、制作者の意図とはズレて解釈しているかもしれませんのでその点はお含みおきください。
芝居と席と見え方のこと
前述の衣裳のディテールや素材感のことにも繋がるのですけれど。この作品、席によって印象が大きく変わる作品だと思いました。
埼玉公演はまた異なるのかもしれませんが、東京公演の会場であるシアタートラムでは、客席はステージに対してコの字型に配置され、ステージサイドとセンターブロック前方はほぼフラットで役者の目線より下、センターブロックはかなりの傾斜があるのでステージからかなり離れるし高いし。
私が観たのはシモテ側のステージサイド席、2列あるうちの2列目の舞台袖側(一番端っこ)だったので、ステージの後方が見えない位置でした。図解できればわかりやすいんですけど、なんせステージの構造を把握できないままだったので図解すら曖昧っていう(笑)
ステージ後方での芝居は一切把握していないし、楽士さんの演奏される姿も拝見していないです。実際はそれでもたのしかったんだけど、知らずに行ったものだから多少もやっとはしました。ストーリーを追うのに干渉する程ではないけれど、細かく細かく変な間ができる。「こちらからは見えていないけど動きと表情で何か芝居が進行しているのだろうな」っていう間が。
それから、ステージに近いとはいえ、奥側の席ともなればどうしたって役者の背中側から芝居を観る・台詞を聞くというシーンが多くなるので、全体通して台詞が聞き取りにくい。同じステージサイドでも、センターブロックに近い側なら比較的聞き取りやすいんじゃないかしら、なんて。
声に関してはね、これはもう技量とかの話ではなくて、声は前に飛んでいくものだからしょうがない。元々文字で読んでいて、頭に入っているような方であれば問題なかったのかもしれないです。あの台詞量をハイスピード、特に今回は女性なので声の質もあり、初心者には非常に難しかった。
それでも最初はなんとかして聞き取ろうと思っていた。思っていたのだけれど……、途中から音楽を聞くようなイメージにシフトしました。そうしたら単純にたのしめた。ライブ(音楽の)慣れしていてよかったと思った。
演出は三方向を意識したつくりにはなっているのだけれどそれでもだったのですよね。完売・満員の公演ともなればサイドの奥か手前かはもう誤差の範囲みたいなものかな、仕方ない部分もあるかなぁって。実際私がチケット手配したのもギリギリでしたし、ある程度自己責任という部分もあるだろうけど。
私自身はラフというか、そういう状況もおもしろがったりたのしめるタイプであるから問題なかったけれど、言葉を追いかけたいタイプの方や、カッチリとお芝居をたのしみたいという方にはストレスかもなぁ。
とはいえ、どうしたって上演時間は長いし、予習もできないままこの状況での観劇となればそりゃあ難しいし、そういう意味ではやっぱりビギナーである私なぞにはしんどいし、玄人・役者・制作者向けだなと思ったけど。そんな具合でして、この観点からすると、席と個々人の知識量でもって評価が分かれそう。センターブロックで観劇の玄人・役者だったら最高にたのしいだろうし、この作品の魅力を120%堪能できるのでしょう。
このノートを書くこと、とても迷いました。
埼玉公演を来週に控えた公演期間中にこのノートを記すこと、公開すること、とても迷いました。なかなか書き進められなくて、うまい言葉がみつからなくて。ただ、舞台そのものには満足していて、笑ったしキュンキュンしたし、考えたし、グッと来たし。だから、迷ったけれど書いておこうと思いました。
山﨑薫さんとLutherヒロシ市村さんに救われたというのはそういう意味もある。寝転んでうだーってするシーリアが超絶可愛くてキュンキュンしたし、森の妖精さんのごとく客席にちょいちょいするエイミアンズに笑わせてもらったし。
あと、最後の最後になったけど。なんだかんだ言いつつも私が笑っていられるのは、釆澤靖起(ウネザワヤスユキ)さん演じるタッチストーンとジェイクィズのソレを堪能するならこの席でしょう!っていう余裕。
結果オーライ、つまり私にとってはなんだかんだ最高の席であったのだよ。これについてはもう観た人、知っている人しか共感できない話ですけどもっ。もっ!
埼玉公演はまだチケットあり!
埼玉公演は9月13日(木)~17日(月・祝)彩の国さいたま芸術劇場 小ホールにて。
公演の公式ページではないのですが、出演情報として航跡のサイトで1ページにまとめているのでご参考までにリンク貼っておきます。ぺたり。
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こちらのノートは2018年9月07日付けの #コンテンツ会議 に取り上げていただきました。ありがとうございます!