インボイス制度で、クラウドワークスはどう変わる?“誰にでも機会がある”サービスを作るプロジェクトの裏側とは
こんにちは!
クラウドワークス公式note編集部の楓です。
来月、10月1日からスタートするインボイス制度。
クラウドワークスで仕事をしているワーカーさんにとって、大きな関心ごとだと思われます。
そこで本日は、インボイス制度によってワーカーのみなさまにどんな影響があるのか。
そして、インボイス制度へのクラウドワークスの対応をご紹介したいと思います。
▼インボイス制度への対応を主導した方
ワーカーのインボイス制度開始の影響と、クラウドワークスの取り組み
ーーインボイス制度によって、クラウドワークスのクライアントやワーカーにはどんな影響がありますか?
(西村珠美さん、以下、チャンタマさん)
クラウドワークスでの仕事の受注者をワーカー、発注者をクライアントと呼んで説明しますね。
そもそもインボイス(適格請求書)とは、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための要件を満たした請求書のことです。
クライアントは、このインボイスを受領・保存することで、消費税の納税負担を軽減することができます。
そのため、クライアントにとってはインボイス制度に登録していないワーカーよりも、インボイスを発行してくれるワーカーと取引するほうが、税制上のメリットがあります。
一方、ワーカーがインボイスを発行するためには、クライアントから受け取った消費税の納付義務がある「課税事業者」になる必要があります。
これまで基準期間の課税売上高が1,000万円以下のワーカーは「免税事業者」として、クライアントから受け取った消費税の納付義務が免除されていました。
つまり、課税事業者になったワーカーは、免税事業者であった時と比べ、消費税分の収入が減ってしまう状態になります(※)。
インボイス制度について詳しく知りたい方は、セミナー動画をご覧ください。
ーーワーカーは、それぞれのメリット・デメリットを知り、どちらを選択するか判断することが大切ですね。
インボイス制度に対するクラウドワークスの対応は?
1つ目は、ワーカーがインボイス発行事業者かをプロフィールに表示すること。
2つ目は、インボイス発行事業者であるワーカーの請求書に、ワーカー自身の登録番号ではなく、クラウドワークスの登録番号を記載できるようにしたことです。
登録番号は、国税庁のホームページで検索すると氏名が表示されます。
一方、クラウドワークスのワーカーは匿名で活動をしている方も多く、氏名を明かしたくないという声も上がっていました。
そのような声を受け、媒介者交付特例という制度を利用し、クラウドワークスの登録番号を記載する形をとりました。
これにより、ワーカーさんの情報が検索されるという懸念を解消しています。
クラウドワークスは「街」 インボイス制度に詳しくなくても、利用できる環境を整える
ーー仕事の裏側を聞かせてください。対応にあたり、1番議論した点は?
先程説明した、媒介者交付特例制度を使うかどうか、というところですね。
クラウドワークスの利用規約としては、クライアントとワーカーは直接契約。
クラウドワークスは、あくまでも仕事を受発注するプラットフォームという立場です。
そのため、利用規約上は、「ワーカーさんは自分の登録番号を記載した請求書を、自分で作成してクライアントに提出してね」という対応をとることもできるんです。
ですが、それだとワーカーさんにとって手間や負担が大きくなってしまう。
なので、「きちんと対応したほうが良いよね」「それならば個人情報に対する不安を取り払うためにも、クラウドワークスの番号を載せられる制度を使おうか」などと話し合いました。
ーーそれだけ聞くと、迷わず今の形にすればいいと思ったのですが……。
やっぱり、インボイス制度に対応するシステムの開発に大きな工数がかかる点が、議論のポイントになりました。
先ほどお伝えした2点以外にも、ユーザーの目につかない裏側部分の改修がたくさんあるのです。
今年の1月くらいから3人で開発を始めて、7月頃から13人ほどで対応しています。
もう8ヶ月ほど時間をかけていますが、今でも開発は続いています。
それでも10月1日に対応完了するまで、ギリギリなくらい大規模な開発なんです。
ーーそんなに!もしワーカーさんが自分で請求書を発行してもらう対応にしたら、どれくらいの工数だったんですか?
その場合は、システム開発という点では、ほとんど対応は必要ありません。
ーーそれだけ工数に差があっても、今の形をとる結論に至ったのですね。その議論では、どんな考え方を指針にしていたのですか?
私たちは、クラウドワークスのサービスを「街」と表現していて、これが指針になっています。
たとえば、仕事をマッチングさせるサービスの中には、有名人とのマッチングだけに絞ったものや、実名性のものもあります。
ですが、クラウドワークスは誰にでも機会を提供できる状態を目指しています。
有名じゃなくても、実名を出したくなくても使える。
選択肢がたくさんあるのがクラウドワークスの特長です。
今回のインボイス制度の対応も、誰でも利用できる環境を整えることを大切にしました。
インボイス制度に登録する人も、しない人も、クラウドワークスを利用できる仕組みを作るのは大前提。
「インボイス制度に詳しくないとサービスが使えない」という状態にならないよう、心がけていました。
また、会社としても「個のためのインフラになる」というミッションを掲げています。
このミッションが、クラウドワークスのサービスを誰にでも開かれた場にしようという考え方の原点になっています。
「やらされている」と思われがちなプロジェクトは、チームで意義を明確にする
ーーチームで同じ指針を持ち続けるために、工夫した点はありますか?
今回のような、国の制度変更によるシステムの開発は、どうしても「やらされている」といった受け取り方になってしまいがちなんですよね。
それではつらくなってしまうので、最初にインセプションデッキというものを作りました。
我々がなぜこのプロジェクトを行うのか、という意義をチームで言語化したんです。
結果的に、ワーカーやクライアントにとって、対応すべきものに対応する信頼できるサービスを作っていきたいという意見にまとまりました。
インボイス制度対応のプロジェクトは、中心メンバーだけではなく、社内のさまざまな方の協力が必要でした。
他のチームに依頼するときにも、このインセプションデッキを共有して、関わるメンバー全員が前向きに取り組めるように意識しました。
ーー前向きに取り組める工夫、大切ですね。
チャンタマさん自身が、「街」という指針をブレずに持ち続けられるのは、なぜですか?
私は地方出身なのですが、東京の友人と話をする中で、東京にはいろんな機会があり、たくさんの経験をしているな、と感じることが多々ありました。
かたや、地方には機会が少なくて、いろんな選択肢を知らずに過ごしてしまう。
それはすごくもったいないな、と中学生の頃から思っていたんです。
そんな中、結婚や出産などをきっかけに東京を離れ、仕事を辞めざるを得なくなった方が、クラウドワークスのサービスを通じて地方でも働いているという話を聞きました。
それはまさに、自分が課題に感じていた「選択肢や機会を増やす」ことに通じています。
この感覚を今でも大切にしているため、クラウドワークスの「街」を作るという指針をブレずに持ち続けられたのかな、と思います。
・・・
クラウドワークスは、インボイス制度に伴う対応について、他社に先駆けていち早く方針を発表しました。
なぜ他社の対応を待たずに方針を出すと決められたのかを問うと、「たくさん議論した上で、ユーザーにとって最もよい方向で進めていると自信を持っていたから」と答えてくださったのが印象的でした。
次回は、8月末に発表した、AIを使った副業診断サービスについてのお話を紹介します!
※インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方は、特例として負担軽減措置が設けられています。
詳細は国税庁HPをご覧ください。
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