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コーヒー屋が「1杯につき何グラム粉を使いますか?」という質問に答えにくい理由

コーヒーのお店をやっていると、お客さまからよく聞かれることがいくつかあります。そのひとつが「コーヒー1杯に、何グラムのコーヒー粉を使いますか?」という質問。

コーヒー店のオーナーは、お客さまとコーヒーの話をするのが好きです。自分もそのひとり。だから、自分でコーヒーを淹れている人の相談となると、あれこれアドバイスしたくなります。

だけど、あまり細かい話までしている時間もないから、中途半端に終わってしまいます。「1杯に、何グラムの粉を使うか」という質問も、ひと言で答えられたらいいんですけど、そうはいきません。

もちろん「1杯につき、15グラムの粉を使います」のように、ひと言で伝えることはできます。だけどそれは答えたことにならない、と思います。
だから、ここで皆さんにできるだけ手短にお伝えしたいと思います。
まぁ、そんなに短くできないかもしれませんが。。。

お答えになりそうな事柄を、大きく2つ挙げてみます。

① 粉とお湯の量は適切か
粉の量を知りたい方はいるのに、なぜかお湯の量は訊ねられたことがありません。適切な粉量のコーヒーとは、つまりお湯の中に溶け込んでいる粉の濃度が適切かどうか、ということです。

あなたは自分が普段飲んでいるコーヒーカップの量が、何グラム(ml)か知っていますか。お湯の量を把握して、はじめて適切な粉量というのが分かります。その上で以下の数式を当てはめると、適切なコーヒーがつくれます。

粉1g:お湯16g(ml)

粉を10g使うなら、お湯を160g注ぎます。カップに落ちないお湯があるので、130g前後のコーヒーができます。便利な掛け算ですが、あくまでも目安とお考えください。なぜなら濃度の好みも人によって違うからです。

② 粉の適量は重さ(g)より体積
①だけを参考にしてコーヒーを淹れてもいいと思います。②はちょっと細かい話。同じ重さ(g)でも、豆の銘柄や焙煎度によって粉量は変わります。

たとえばブラジルとコロンビアの2種類の豆があったとします。それぞれ10gの粉を計ったとしても、実際の粉の量(体積)がそれぞれ違うのです。

これは、銘柄によって生豆に含まれる水分量が違うこと、さらに焙煎度によって蒸発する水分量が違うためです。浅煎りほど含水量が多いので重く、深煎りほど水分が蒸発するので軽くなります。

つまり同じ10gでも、浅煎りほど粉量が少なくなり、深煎りほど粉量が多くなります。また同じ焙煎度で焼いたつもりでも、ブラジル10gとコロンビア10gでは粉量が微妙に違ったりします。

2種類の豆を同じ10gで揃えても、粉量が違うということはコーヒーの濃度が変わり、少し薄めのコーヒーになったり、少し濃いめのコーヒーになります。だからグラムではなく、体積(粉の量)を揃えれば濃度が一定になります。

話が少しややこしくなりましたが、結論としては、粉はグラムで計らずに計量スプーンの杯数を揃えれば、濃度が一定になります。

試しに3種類のコーヒー粉を用意し、同じスプーンですり切り1杯の粉をそれぞれグラムで計ってみると、9g、10g、11gのように重さが違うことが分かるはずです。参考までに。

以上のように、1杯のコーヒーに使う適切な粉量を、粉の重さ(g)だけで決めることはできません。ここまでお話しした知識は、おいしいコーヒーを淹れる際の手助けになると思います。

ただ、日常使いするコーヒーは、もう少しフランクな考え方でいいのではと個人的に思っています。計量スプーンですくって淹れたコーヒーが、少し薄いと感じたら粉を増やし、濃いなと感じたら、粉を減らす。①、②の話にこだわり過ぎずに、好みの量をご自分で決めてコーヒーを楽しんでみてくださいね。

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「那須コーヒーパルキ」
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栃木県那須郡那須町豊原丙4140−7(※住所では正確な場所が出ません。Googlemap「那須コーヒーパルキ」と検索してください)
営業日:土・日
営業時間:10時〜17時





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