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くすぶっている子が輝き出す授業

おはようございます。“学びで人生を楽しく”と掲げて日々勉強を続けている小学校教員です。

私は初任の頃からブレることなく、子どもたちに学びの楽しさ、成長する喜びを実感してほしいと思って教師をしています。

それなのに、今の学校現場では学びが退屈なもの、我慢してやるもの、将来のために仕方なくやるものといった捉え方が蔓延っています。

これは子どものせいではなく、教師の責任です。入学してきた1年生の子どもたちは目を輝かせて学習に取り組みます。あれをやりたい、これをやりたいと思いや願いであふれています。

しかし、学年が上がるにつれて徐々に学習意欲が低下していくケースが多いです。やらされてる感が如実に表れ始めます。

子どもたちをそんな学び手にしていいはずがありません。ここに危機意識をもって、プロの教師として手を打っていく必要があります。

くすぶっている子どもが多い原因

私はこれまで高学年を担任するたびに、学習意欲が低く、できるようになりたいとも思わない子たちと出会ってきました。いろんな場面で失敗を繰り返し、自分なんてダメなんだと思い込んでしまっている子たちです。

そういう子たちは多くの場合、自らの力や強みを発揮できていない(発揮できる場がそもそもない)だけだと私はとらえています。力を出せずに、くすぶっているだけです。

決してダメな子たちではありません。教師の授業スタイルや指導法がその子に合っていないだけです。

クロンバックは、個人の持つ学習適性によって与えられる処遇(指導法や教材など)の効果が異なる現象を「適性処遇交互作用」と呼びました。

つまり、教師が子どもの事実に向き合って授業スタイルや指導法を変えていく必要があります。また、学級にいる子どもたち一人一人に異なる学習適性があります。ここに、「個別最適な学び」を求めていく意義があるのだと思います。

「個別最適な学び」の理解を深める上では、奈須正裕氏の書籍が大変参考になります。ご興味あればお読みください。


学習環境を整えると子どもは輝き出す

ある男子児童Aはまさに、くすぶっている子でした。出会った当初は学習意欲が低く、ノートを書かない、話し合いに参加しない、表情は終始暗い、といった感じでした。

Aとかかわっていくうちに、YouTubeに夢中であること、特に解説動画をよく見ていることがわかってきました。ご家庭の方からも、ずっと見ていて困っていると聞きました。私はここに、Aの強みが隠れていると気付きました。

ちょうど1人1台端末が普及し、GIGAスクール構想が打ち出されたタイミングであったため、タブレット端末を活用できる学習環境を整えました。

社会科の学習で、これまでノートには少しも書こうとしなかったAが、驚くほど意欲的に自分の調べたことをタブレット端末に打ち込むようになりました。

自分なりの表現ができるようになると、話し合いにも自然と参加し始めます。自ら調べたことを発信する姿が見られるようになりました。表情も少しずつ明るくなっていくのがわかりました。

単元末には、調べてきたことをスライドにまとめ、スクリーンショットで写真にして編集し、自らの音声を吹き込んだ解説動画を仕上げました。

もちろんそのようなまとめ方をした子は当時いませんでした。YouTuber顔負けのクオリティに、学級のみんなから拍手で称賛される機会になりました。

この認められる経験を通して自信をもち、徐々に学びに向かう姿が変わっていきました。一番驚いたのは、あれだけノートを書こうとしなかったAが、学習ツールとしてタブレット端末ではなくノートを選択したときです。

調べたことを自らノートに整理し始めたのです。これまでノートを書いてこなかった分、決して質の高い学びだったとは言えません。しかし、自らノートを選択し学びに向かっていった姿は、Aの成長を物語っていました。

主体的な学び手が育つ条件

Aのように、くすぶっている子がまた輝く日は必ず来ます。その子の力や強みを発揮できるような学習環境を整え、寄り添いながら背中を押してあげることです。

自己決定の機会を保障し、自分なりのやり方で学び、考えを表現できる授業にすることが主体的な学習を支えます。

自分なりに表現したことが認められるようになると、学びはどんどん楽しく、充実したものになります。そして、気づいたときにはとんでもなく成長した自分になっているものです。

デシとライアンが提唱した「自己決定理論」はこれからの授業を考える上でとても役立ちます。与えられた課題であっても自己選択・自己決定の機会があることで、内部からの欲求となる内発的動機づけを高めていくことを示しています。

また、「自律性」「有能感」「関係性」の三つが重要だとされています。まさに、Aは自己決定の機会によって「自律性」を、自分の学習適性に合った学習方法で「有能感」を、自分なりの表現が認められることで「関係性」を高めたといえます。


おわりに

これはAに限らず、どの子にとっても有効な一手になります。くすぶっている子どもたちがまた輝き出す、そんな学校をつくっていきたいです。

私はこれからも、子どもたちに学びの楽しさ、成長する喜びを実感させられる教師でありたいと思います。学びは何よりも楽しいものだと信じて疑いません。

最後にお知らせです。

いま現在、教員や教員志望の方を対象にした学び場『ATTiTUDE』の企画を練っているころです。オンライン、オフライン問わず開催していく予定ですので、ご興味ある方はぜひ一緒に学びましょう。詳細が決まり次第、ご報告します。


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