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子どもが前のめりになる!社会の授業のつくり方④

社会が苦手な、すべての若手教員に送ります!

4回目の「子どもが前のめりになる!社会の授業のつくり方」です。

ここまで、「社会の授業のめざすもの」「学習指導要領が教えてくれる」「子どもが前のめりになる問い」というテーマで書いてきました。

もし興味があれば、下のリンクからのぞいてみてください。


1.社会の授業がめざすもの

ぼくは社会科を、「社会を豊かな視点でとらえ、ともに幸せを追究していく子を育てる」教科だと考えています。


2.学習指導要領が教えてくれる

<授業づくりの最初の3ステップ>

(1)学習指導要領を開いて、育てる「資質・能力」を確認する。

(2)子どもの実態とすり合わせて、「育てたい子ども像」を明確にする。

(3)教育書を片手に「教科書」を「教材化」していく。


3.子どもが前のめりになる問い

<問いづくりの2ステップ>

(1)自分の問いをもつ

提示する資料に必ず、子どもたちが思わず「え、どうして?」「なんで!」と言ってしまう「しかけ」をつくる。そして、問いづくりのための「疑問詞」を提示して、言語化をサポートする。

(2)みんなの問いをつくる

それぞれがつくった問いを出し合って、つなげながら大きな問いをつくります。班ごとにまとめた問いを全体で出し合って、つなげながらみんなの問いをつくります。


4.教えない、全員で調べる

それでは今回のテーマ「教えない、全員で調べる」に移ります。

社会の授業をつくるときに、最も陥りやすいことがあります。それは、学習内容を教えてしまうことです。

暗記教科の代名詞である社会科は、どうしても教師が教えるべきことがたくさんあると思い込んでしまいます。

ぼくたちが子どもの頃、先生に教えてもらってきたからだと思います。

そのため、社会が苦手な先生は「私なんかが教えるのは…」と悩んでいる方が多いです。でも、ぼくが思うのは「社会科は何も教えなくていい」です。

教えたいことを、子どもたち自身が調べ、習得し、活用していく単元・授業をデザインしていくことが大切だと思っています。

初任の頃、有田和正さんの「教え上手」を読んで衝撃を受けました。

この本にはこう書かれています。

教えることの要諦は「いかに教えないか」にある

教えることが好きだった自分にとっては、頭をカナヅチでズドーンと殴られたような衝撃でした。

そこからぼくの教育観は大きく変わりました。

いかに教えないで、子どもたち自らの手で知識・技能を獲得していくか。思考・判断・表現する場をデザインしていくか。学びたいと思わせるか。

そんなことを考え続ける日々でした。ただ、それがおもしろく、準備のしがいのあることだと気付くことができました。


(1)調べるための視点をもつ

ではいったい子どもたちがどのようにして、自分たちで調べていくのか。

大切なことは、何を調べればよいのか視点を与えることです。いきなり子どもに丸投げでは、うまく調べられない子が出てきます。

そこで、社会科の見方・考え方の出番です。

ぼくは子どもたちに馴染みやすい言葉に置き換えて、見方を「B:場所」「T:時」「K:かかわり」と読んでいます。3つ合わせてBTK:バタコです(笑)

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最初はもっと噛み砕いて提示するのがよいかもしれません。「場所の固有名詞」「○年前」「○○の立場」で調べてみよう!などと具体化してあげると、苦手な子も調べやすくなります。

そして、調べたものを考え方を使ってまとめていきます。「B:分類して」「T:つなげて」「K:比べて」で、こちらも3つ合わせてBTK :バタコです。

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今日は〜ごとに分類して考えるよ、○○とつなげて考えるよ、AとBを比べて考えるよ等、最初はこちらから提示します。慣れてきたら考え方を子どもが選択できるようにしていきます。

(2)調べたことを説明する

もう一つ大切なのが、調べたことを後で誰かに説明する場をつくっておくことです。

「誰かに説明する」ことを意識するだけで、調べ学習の質や子どもの意欲は劇的に変わります。

どうまとめれば説明しやすいかな、どこがポイントなのかな、と考える必然性が生まれるからです。ただ調べるよりも断然、記憶に定着しやすいです。


これをやるようになったのは、DaiGoさんの『超効率勉強法』を読み「再言語化」の効果を知ったからです。

再言語化のなかで「ティーチング・テクニック」と名付けて紹介されていました。

「他の人に教えなければ」と思いながら勉強したグループは、内容を正確に思い出す確率が28%も高く、とくに重要な情報ほど記憶に残っていたのです。
考え方を変えただけでここまでの差が出たのは、他人に「教えるつもり」になったおかげで学習に能動的になったからです。

と書かれています。


別に下級生に教えるなどと大がかりなことをやる必要はありません。(もちろん外の人に説明する場も大切ですが)

班で役割分担をして後で説明し合う。班ごとに調べたものをプレゼンし合う。自分で調べたものを3人以上に説明する。など、どれも学級内で行えます。まずはこれで十分だと思います。

さらに、説明し合って、うまくいったうまくいかなかったという経験を経て、振り返り改善すれば、次の調べ学習へとつながっていきます。

調べ学習には技能が伴うはずです。しかし、その技能を子ども自身が認識する機会ってほとんどありませんよね。

誰かに説明することで、自分の調べ方がどうだったのかを振り返ることもできるのです。

最後は学級で調べたことを集約し、そこから考えたり、まとめたりといった活動に移ります。


こんなふうに、ぼくは「教えない、全員で調べる」を実践しています。

みなさんの参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。この続きは次回書きたいと思います。

5.解決するのは子ども

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