子どもの主体性をつぶさない覚悟
これからの時代
変化の激しい現代において、10年後の社会がどうなっているか予測することは難しいですよね。もっと言えば、5年後や3年後、翌年どうなっているかさえつかめない時代になっています。
そんな予測困難な時代を生き抜くうえで、未知の状況に直面しても自分なりに考え、他者と協働しながら課題を解決していく力は不可欠です。
未知の状況では、今まで通りでは通用しないことが多く、当然ながら失敗の機会が増えます。それでも打ちのめされることなく、試行錯誤を繰り返していく「粘り強さ」や、自分なりに学んで対応していく「自己調整」が求められます。
また、国際化、多様化に伴い、これまで以上に多様な他者とよりよく生きていく方法を考えていかなければなりません。言い争うのではなく、互いを尊重しながら対話によって物事を推し進めていく力や態度が求められています。
学校現場の現状
このような時代背景にあって、子どもたちはこれからを生き抜く力を、学校で育むことができているのでしょうか。いまだに学校現場では、教師主導の画一的な授業が根強く残っています。
このままでは、現行の学習指導要領で掲げているような資質・能力を育成する「主体的・対話的で深い学び」は実現されないと私は考えています。
たとえば、「5分間考えます」や「今から話し合いましょう」、「一回手を止めてください」等、教師の都合で子どもたちの学びを執拗に止める授業をよく見ます。
「まだ考えているのに…」「まだ話している途中だった…」「もう少し時間をください」という声が上がっていても、優先されるのはなぜか教師の都合です。
以前、『発問で授業を組み立てることの弊害』でもそのことを書きました。学びの主導権を教師が持ち過ぎてしまっているのが現状です。
早く終わった子は暇を持て余し、遅い子は取り残されていく。そんな教師の都合で進んでいく単線型授業では、子どもたちが生き生き学ぶことなど期待できません。
そもそも、そこまで区切って発問して、指示を出さなければ子どもは学べないのでしょうか。私の感覚だと、学び方や考え方が子どもたちに手渡されていて、学習環境が仕組み化されていれば、子どもたちは自ら学習を展開していきます。
主体性をつぶさない教師になる
これからの時代を生き抜くために不可欠な「未知の状況に直面しても自分なりに考え、他者と協働しながら課題を解決していく力」を育むためには、教師の“覚悟”が必要です。
その覚悟とは、「子どもの主体性をつぶさない」という強い思いです。私たち大人は、どうすれば子どもが主体的に学ぶようになるかと考えます。しかし、子どもは本来ものすごく主体的です。凝り固まった大人より主体的に学ぶ存在なのです。
子育てをしたことのある方は、何事も「自分でやる!」と言って聞かない子どもの姿を見ているはずです。よかれと思って手伝うと、「自分でやりたかったのに!」と怒られます。
だから大切なのは、私たち大人が「子どもの主体性をつぶさない」努力をすることです。子どもが主体的に動けるように学習環境を整え、学びに伴奏するのです。
もちろん必要に応じて、教師から働きかけます。教師主導で進める場面も必要です。しかし、子どもの主体性が発揮されるように単元や授業をデザインしていけば、必然的に教師主導で進める場面は精選されてきます。
こうして教師主導の画一的な授業を手放していけば、今まで以上に子ども一人ひとりを見取り、必要な支援や働きかけもできるようになります。
子どもたちは課題に対して自分なりに考え、対話し、学習を展開していくとき、驚くほど生き生きします。私なりの言葉で表現すると、「子どもが躍動する授業」へと変わります。
最後にもう一度だけ言わせてください。これからを生き抜く力を育むために必要なのは、私たち大人の“覚悟”です。
お知らせ
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