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まほろば流麗譚

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2024年8月の記事一覧

邂逅罪垢火焔演舞 9

「澪、呑気なものだな。」

「何がです、旦那。」

澪は気怠るく身を横たえていた。

「いつあの物の怪と術者が来るともしれん。」

「でしょうねぇ。
 連中、妙に人間くさいってんだから、先ずはあたし
 を殺しに来ますやぁねぇ。」

「まあ良い。連中は俺が斬る。
 休んでいればいい。」

澪はゆっくりと身体を起こす。

「あたしが斬りますよ。こいつで。
 だからこんなに疲れてんですから。」

宗矩が

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邂逅罪垢火焔演舞 8

腹が減った。
まだ小さい娘は食い盛りだ。
だが、思う様に食わせてはやれない。

季節も寒さを纏ってきた。
今はまだ山の実りが飢えを凌がせてくれる。
もう少し経って冬が来たなら、、

「お父ぅ、腹が空いた!」

娘は無邪気に言う。

「栗を集めるか。」

「うん!」

娘は答えると駆け出した。
身軽に木に登る娘を見ながら、忍びにでもなってくれたら、、大杉烈行は苦々しく思う。

己ひとりでも食うや食わ

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邂逅罪垢火焔演舞 7

「邪魔するよ。」

勇也と鉄斎が笑いあった時、松方澪が入ってきた。

「姉さん、、やっぱりねえ。」

鉄斎が澪の顔を見て言う。

「何が、やっぱりなんだい。」

澪は気怠そうに空いてるトコに腰を下ろした。

「まだシンドそうだなぁ。
 無理すんなよ。」

「ああ?、、あんたには助けられたんだってねぇ。
 礼を言った方がいいかね。」

勇也の掛けた言葉にも、いつもの澪の張りがない。

「そんなもんは

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邂逅罪垢火焔演舞 6

笑顔と共に宗矩は帰っていった。

「今度は大変なんだね。」

「ああ、今度の物の怪は猫だ。」

「えっ!化け猫!?」

「んー両手に火の付いた車を持ってる。」

「えっ!燃えてるの?熱くないのかな?」

「物の怪だから、何ともなあ。」

「怖いね、、」

美代が不意に声を落とした。
その腰に勇也が手を回し引き寄せる。

「だなあ。
 でも、あいつが退治してくれるぜ。」

美代は勇也の身体の熱を感じ

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邂逅罪垢火焔演舞 5

翌朝。
宗矩と澪は大広間に居た。

少し前の江戸は片田舎でしかなかった。
そうであっても、ここまで歩いてきた者には何やら宴を開きたくなる気分はあったのだろう。

そんな笑顔と喜びが染みついた場に、二人は木刀を携え立っている。

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「もう良いのか。」

「ああ、ぐっすりと眠らせてもらったんでね。

 で?」

「ん?、、どうという訳でも無いが、、

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邂逅罪垢火焔演舞 4

江戸の外れには、かつて旅籠として使っていたであろう建物がある。

旅人が江戸に着き、一息を入れた場所であろう。

徳川家が江戸に入ってからは、この場所はまだうちすてられていた。

今の江戸に来る者は食い扶持を求めている。
仕事を捜し、住処もその職に付いてくる事を狙う。
遊びや楽しみの為に江戸見物とはいかない。

大名は江戸城周りに泊まるべき場所が用意される。
後回しにされるのは至極当然なのだろう。

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