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えんじゅ
2024年12月23日 05:52
キリストの降誕を祝うこの時期は色とりどりのイルミネーションが主役となって街のあちこちで現実から逃れようとする人々の心の隙間を照らし出す不意に心の奥に眠っていた幼い頃の夢や希望が甦り驚きと嬉しさと抑えきれないくすぐったさとが交叉する光を浴びて普段は人目を引かない木々たちは注目されることに戸惑いながらも僅かな自信を取り
2024年12月16日 23:18
ごまかしの効かない世界で生きる周りは騙されたふりをしていることに気づかない幸せな人何を求めているの曖昧なままの誇り大事なことには目をつぶっていい人を演じきってくたびれた心さえも覆い隠せるしたたかさいつの間にかにせものが本物に代わる代わったことさえ忘れたかのように何もなかったように大したことではないけれど
2024年12月17日 07:10
白壁と靄の境に微動だにしない老松と幾重にも連なる屋根瓦とが優雅に眠りから覚めるそのときを待っている明けゆく空は偶然にも頬を染めながら山極を照らし始める白い筋を残した蒼い山と色を違えない雲さえも敢えて曖昧なまま恥ずかしそうに頬を染めていく人々の気配を感じながら雲も靄も山も光を浴びていつの間にか冷静さを取り戻し何ごともなかったよう
2024年12月21日 20:51
どこかで嗅いだことのあるにおいであったり懐かしい筆跡であったり色褪せた写真にうつる笑顔であったりその時代に流行ったメロディであったり懐かしさはどこか物悲しい過去に置いてきた忘れもののようにもう二度と手にすることはできない思い出だから大事なときは足早に過ぎてだいぶ霞んでしまったけれど私の脳裏に浮かぶのはあの時代に生きていた紛れも
2024年12月25日 06:33
始まりはいつ終わりになるのかを知らない終わりはいつ始まったのかを忘れている始まりと終わりの確かな線引きなどないのだとわかる始まるときも終わるときも偶然なのか必然なのか目の前の矢印を選んで進んでいるまっすぐな矢印曲がりくねった矢印矢印の先に自分が求めるものがあるのかわからないそれでも進む待ってはくれないから終わり
2024年12月6日 19:07
泣いているんです本当はとても悲しいときに笑ふ誰も私の心は見えないから気づきもしないから笑ふわざと嘘つきなんです本当はとても苦しいときに笑ふ苦しみなんて無縁だと誰もそう思っているから笑ふわざと
2024年12月4日 20:40
いつの間にか大人びた言葉で私を制すひとつひとつ自分で決めて進んでいくまっすぐな瞳は余計なことを言わせない覚悟を秘めているずいぶんと離れてしまったような寂しさに胸が苦しくなったとしても大切なものは羽根が生えたようにいつか遠くへと飛び立つ大切なことはその存在を認めることその現実を私が受け入れること
2024年11月29日 07:51
目の見えない老いた犬はぶつかりながら前に進むそれでも尻尾を振ってくれるのは優しい心を持っているからヨロヨロ歩く老いた犬は用心しながら前に進む私に足並み揃えてくれるのは優しい心を持っているから
2024年11月20日 07:44
髪を切ったら私じゃない私になれる気がして出来上がるまで目を閉じていようそろそろかな弾む心はそれを待てない薄目を開けてみようかいやいやもう少しがまんがまん「どうでしょうか」出来上がりの合図で目を開けたさっきまでのぼんやりとした私なんだかとても頭が良さそうなんだかとてもお上品鏡の中の私も嬉しそう外の空気も美味しそう胸を張って上を
2024年11月14日 20:37
バスから臨む景色は黄昏色で埋め尽くされている忙しそうに歩く人も列をなす車もすれ違いながら同じ時を生きるそんな無常に思いを馳せ横目で見ながら通り過ぎるあの人たちは幸せなんだろうか
2024年6月30日 18:34
おんぶして連れて行ってもらったあかあおきいろまでおばあちゃんの背中あったかかったよ子守唄が聞こえてきたからうとうと うとうとあかあおきいろが見えなかったよ帰ってきたけどまた見たくなったよあかあおきいろおばあちゃんまた連れてって
2024年8月8日 07:17
それは誰が決めたの儲けにならないから気に入らないから変わり映えしないからすぐ結論が出ないからそれはあなたが決めたの人と比べているから人の視線が気になるから失敗するのが怖いから叶うはずないことだから書いては消し消しては書いたこの時間さえも無駄だと言うのなら何て言い返そうか目を閉じて鼻から吸った空気を口から出す清々しさを無駄だと言
2024年8月22日 07:39
つ つ つーっと引かれた線はどこまでも続く消えないんだね切れ目を探しているんだけれどどこにも見当たらない頑固だねゆるりと描いた曲線やまっすぐ引かれた直線はあなたとわたしを隔てる線潜ることも跨ぐこともできないように描かれている上手だねあっちとこっちは色も匂いも全てが違うこんなことってあるんだねこんなことってあるんだよ
2024年8月26日 06:13
真ん中は歩かない足を踏み外さない程度のところでも道は進む結構時間はかかるけど確実に慎重に端っこから見える景色も案外悪くないものだよね真ん中を堂々と歩いてしまえば楽なんだけど道を踏み外さない程度に歩いてみるのも身の丈に合っているようで本当に大切なものは上手に隠れているよね本当に大切なことは端っこでも見つかるものだよね