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#37:意識的さんぽ②(神保町編その2)

①の続きなので、ぜひ①からどうぞ。


駿河台下交差点

すずらん通りの人混みを抜け、建て替え中の三省堂書店のある駿河台下交差点へ。この辺りまで来ると本屋街は一段落、代わりに山岳スポーツを中心としたスポーツ用品専門店の存在感が増す。御茶ノ水の方面を見上げると楽器店も目に入ってくる。

駿河台下交差点、ゼビオと黒澤楽器店

石井スポーツなんかは僕もよくお買い物をする。登山であれランニングであれ、「靴が足にフィットするかどうか」の感覚をネットショッピングで得ることは現代であってもできない、かつ、足は最も重要な箇所なので、靴を新調する時は必ず実店舗へ行くのだが、石井スポーツの店員さん達の靴に関する知識は本当に豊富だ。

スポーツ小売業界

コロナ禍を経て、スポーツ小売業界は少し元気になった印象がある。屋外アクティビティの感染リスクが屋内よりも低いからだろう。

新宿のヤマダ電機がAlpen最大の旗艦店、Alpen TOKYOとして生まれ変わったのは象徴的だった。しかし、屋外アクティビティが中長期的なトレンドとなりうるのかは正直分からない。景気が悪くなれば、人は屋外アクティビティどころではない。

ゼビオホールディングス

ともかく。神保町で存在感の強いスポーツ小売は、ゼビオスポーツとVictoriaだろう。ゼビオスホールディングスは東証プライムに上場している。

ゼビオホールディングス、株価推移

ゼビオホールディングス財務分析

ゼビオホールディングスの財務情報推移はこちら。

売上自体はある程度順調なものの、営業利益が各年で大きくバラついている。
2022/3期 売上高2,232億 営業利益49億
2023/3期 売上高2,392億 営業利益83億
2024/3期 売上高2,424億 営業利益42億

なぜだろうか。そそくさとIR情報を見に行く。

経営成績の上記分析

ここに分かりやすくまとめられている。
売上増加要因:コロナ禍によるアウトドア需要を上回るインバウンド需要の獲得
営業利益アップダウン要因:設備投資の有無、人件費の高騰、EC事業関連費用

ROEも低水準に留まっているが、事業領域を考えても多角化しているわけではない(ROEを短期的に引き上げられる要因が見当たらない)。また、「コロナ禍で拡大してきたアウトドア需要の一巡」「温暖化進行による冬物商品の需要減退」の分析で上記のアルペンに対する懸念も強化されてしまう。

スポーツ小売の難しさ

小学館の情報を見て厳しいと感じたが、こちらも相当厳しい。「生活必需品でないものの小売業」という存在の難しさを感じる。

僕自身、節約を考えた場合に真っ先に思い浮かぶのは週末のアクティビティの調節だ。とはいえそれがゼロになってしまうと、日常のストレスのケア手段が大幅に削られることとなる。生活必需品でないものの小売、の需要先は、わがままな消費者なのだ。

Victoria

神保町でゼビオスポーツと共に存在感のあるVictoriaは、ゼビオスポーツ傘下だった。これも知らなかった。

神保町ブックフェスティバルと並行してか、スポーツ祭というのも開催されていて、チラッと見た様子では、スキー場のシーズン通しリフト券のセールもやっているようだった。冬になると毎週のように滑りに行く人には必須なのかもしれない。ライトな層なのでそんな販売が行われていることすら知らなかった。

MIZUNO TOKYO

スポーツ小売業界に対する憂慮はさておき、神保町から小川町方面へ足を進める。

ミズノスポーツ

ミズノの旗艦店、MIZUNO TOKYOが目に入る。日本を代表するスポーツメーカーの1つだ。大阪に本社を置き、この店舗は東京本社として機能している。有価証券報告書をザッと見た分析を試みるが、文字数がとんでもないことになりそうなので③に続けることとする。

おまけ

この散歩を終えた後、神田周辺に「シンボリックには見えないが、一階にやたらと高級な車が停まっているマンション」を発見したフォーサイト神田多町、という物件だ。

25平米ワンルームで賃料11.2万円。神田、淡路町から非常に近いことを考えるとお手頃なのかもしれない。1階部に高級な車たちが停められていた理由については分からなかった。

③に続く


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