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朗読等に、以下の条件でご自由にご利用いただけます。 タイトル・タグ・説明本文・サムネイル画像のいずれかに「作:しとろん」と入れてください。 使用報告は任意です。ご報告いただける…
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記事一覧

【詩】陽光のカケラ

陽光のカケラ
硝子瓶に閉じ込めた

振ると 微かに
音がする

小さな小さな結晶みたいに
しゃらしゃらしゃら

お守りにしていこう
この先もずっと
光を見失わないように

その先にあるのは
果てなき 暗闇

ハロウィーン3.あなたにとってのハロウィンは?

ティアナ の場合

ハロウィンの由来が何かって?
収穫祭、新年祭…
でも、私にとっては、何でもいいの
私にとっては
『仮装したかわいい子どもたちに、お菓子をあげる日』

その準備は、1ヶ月も前から始まる
ジャック・オ・ランタンを作ろうか
お目目はどうする?
お口はどうする?

何のお菓子を作ろうか?
キャンディ? クッキー? ビスケット?
ラッピングはどうしよう?
袋に入れる? リボンは何色?

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ハロウィーン2.眠りの妖精

その名を——ティアナ

月の歌
妖精にだけ聞こえる、夜の調べ
夢の世界へと 誘う序曲

夜が、さらに深く、暗闇に溶けてゆく時
月の歌が聴こえてくる
それが、彼女の仕事の合図

必要なものは ただ一つ
妖精の布袋に入った 眠りの砂
粉砂糖のような その砂を
お菓子ではなく 人に振りかけるのが
ティアナの仕事 

「ノア、ウィルフレッド、おいで」

ティアナは そっと子どもたちの名を呼んだ
とたとた

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【ポエム】星砂

私がまだ
世界のせの字も知らないくらい
小さな頃に

海辺で拾った
小さな小さな星砂だけが
たった一つの宝物

さらさら貼りつく
無限の砂粒から
私が見つけた

たった一つの宝物

【ポエム】最後の一滴

【ポエム】最後の一滴

こぼれていく
流れていく

君は
あとどれくらい
残っている?

まだ そこにいる?

どれくらい流れてしまえば
君を君と呼べなくなる?

この、最後の一滴だけは
どうかこぼれていかないように

ずっとずっと
ここにいて

君の最後の一滴を
そっと 確かに 手のひらにのせて

【ポエム】やる気

気怠さを
胸の底に押し込めて

いつだってそう
吸った息を、短く吐いた

立ち上がれ
覚悟を決めろ
目を開け

あとは、進むだけ

雑感

その一歩を踏み出そうと足を上げることが
本当に本当にしんどい時ってあるけれど

発破って、そういう時にはとても効く気がする

最近は、意図的に呼吸を速くして、交感神経できるだけ優位にして、指先とか動かせるところから動かして、どうにかこうにか一歩につなげることを

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【ポエム】安寧

雨上がり
立ち上る草いきれ
叢に息づき、土に蠢く
無数の影

日に炙られた 石の上
干からびて 横たわる
無数の亡骸

柔らかな土を掘って
お墓を作る

これでもう熱くないね

【ポエム】夏がまだ夏であった頃

ヒグラシの声が 遠ざかる

夏が 生き急ぐ
声にならない叫びが 急き立てる

ひとつ ひとつ 摘み取って
僕らは 確かに ここにいた

大きな花束を作って
それだけが、僕らの証明だ

寄せては返す 波のふち
砂の城も 砂浜の絵も
今、ここに立っていた 足跡さえも
ぜんぶ ぜんぶ 波の向こう

ツンと鼻を刺す 火薬の匂い
夜を埋めていく 白煙
笑い声と火花が咲く

僕らは 確かに ここにいて

ヒグ

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異世界カフェ・ヤドリギ 懐古の香り

備考

アレンジ自由。その場合、「原案:週末のしとろん」と明記お願いします。
使用時はご一報いただけると嬉しいです。
使用する場合は「台本:週末のしとろん」と明記お願いします。

登場人物

主人公 性別はどちらでもよい
    空気の精霊に近い存在
    体を大気に溶け込ませることができる

狼男  体長170cm程度の人狼
    主人公と同族の知り合いがいる

本編 

店内の音(お湯が沸

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アリスを追って

こぼれていく かけらに
意味があるのか、あったのか

そんなこと

どうでもよかった
どうだってよかった

「意味」に意味なんてなくて
あの子はただ理由が欲しかっただけだ

空洞化していく言葉じゃ軽すぎて
何も繋ぎ止められやしない

【ポエム】溶け残る

今日も、よくがんばった

そんなことを思う間もなく
気がついたら眠っていて
どろどろのまま目が覚めて
溶けかけのまま1日を過ごして

今日もまだ「私」の形は残ってる

ハロウィーン 0.始まりの詩

ver.1

その人間/化物に 呪いを
その人間/化物に 祝福を

人も人でないモノも
今宵ばかりは対等に

宴の音は
篝火の明かりは
誰にも等しく訪れる

その姿は 果たして仮か それとも真か
さァ、始まりだ
境の扉が、今、開く!

ver.2

その人間/化物に 輝ける呪いを
その人間/化物に 濁りゆく祝福を

呼び名は確かに異なれど
どちらも等しく『贈り物』
来たる夜のための捧げ物

刮目せ

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翼鯨の最期

翼鯨の最期

ラフィアが渾身の力を込めて投げた氷槍は、稲妻を纏い、翼鯨ニアルスに深々と突き刺さった。

ニアルスは尾をばたつかせ、のたうち回る。
右のこめかみから、勢いよく血が吹き出した。先ほど、カイナが短刀で抉った傷である。

巨大な皮膜でできた翼を何度も雲海に叩きつけ、身体を捻り、吼え猛る。数百匹の結晶魚がその腹の下敷きとなって死んだ。

だが、凍れる槍は鯨の腹にしっかりと埋まり、その身を冷熱で灼き続ける。

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【ポエム】眩惑

あたしが あなたに眩んでいる間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

あなたの残像に恋する間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

その姿も声も、幻で、不確かで
何にも触れない この指先が
あなたの背中をかする時

あなたは ただの瓦礫になるのだわ