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【自衛隊】一般曹候補生の体験記

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自衛隊で体験したことを綴ったストーリーです。
自衛隊に関する体験記を追加していく予定です。
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記事一覧

幹部を目指していた俺が、自衛隊を去るまでの話

幹部を目指していた俺が、自衛隊を去るまでの話

私が自衛隊に入隊したのは、若い頃から「幹部になりたい」という強い意志を抱いていたからだ。自衛隊という組織の特性上、階級を上げることは大きな責任とやりがいを伴うし、レンジャーのような厳しい訓練にも挑戦して自分の力を示したいという思いもあった。だからこそ、幹部を目指す道こそが自分の生きがいになると信じて疑わなかったのだ。

富士学校戦車教導隊に移動後しばらくして、状態が安定していたからか主治医から3か

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【一般曹候補生】後期教育の思い出⑥

【一般曹候補生】後期教育の思い出⑥

 3か月の前期教育も無事に終了し、同期との別れがあった。最初は本当に長いと思っていた3か月だったが、終わってしまえばあっという間だった気がする。そして、後期教育へと進み、衛生科としての本格的な学びが始まった。〇〇〇駐屯地へ移動し、衛生救護の学習を受けることになった。

 後期教育では、とにかく勉強が多かった。朝から晩まで座学が続き、テストも頻繁にあった。

具体的には、
①人体の構造
②傷害
③看

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高校時代の夢と選択——推薦を拒否。自衛隊に入ると決めた道④

高校時代の夢と選択——推薦を拒否。自衛隊に入ると決めた道④

高校時代、私は「将来何になりたいのか」を考える時間がたくさんありました。それはきっと、誰もが経験することだと思います。でも、私にとっては特に大きな問題でした。

私は「なりたい仕事」が明確にありました。それは、警察官になること。でも、周りの人たちはその夢に賛成してくれませんでした。

それでも、私の中で警察官という仕事は、ずっと憧れの職業でした。幼いころから、地元の警察官を見かけるたびに、「こんな

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【自衛隊の前期教育編】訓練の厳格さと人生は似ている⑤

【自衛隊の前期教育編】訓練の厳格さと人生は似ている⑤

①別れの前触れ – 無骨な父の優しさ

人生には、どうしても避けられない別れや変化がある。ときに、それは耐えがたい寂しさを伴うものだ。しかし、その寂しさや変化の先には、新しい学びや成長が待っている。

私の父は、戦争を経験した頑固な男だった。口数が少なく、厳しい態度で接してくることが多かった。

私が子どものころ、父はまるで鉄のような存在で、感情を見せることはなかった。そんな父が、自衛隊に入隊する

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