「こどものしっぽ」50周年精選集を読んで(読書感想)
この本の主人公は全て“子どもたち”。『読売新聞』の名物投稿欄、「こどもの詩」に掲載された詩を、1967年〜2017年に至るまでの50年分、その時代を生きた子ども達の“生の言葉”=詩が収録されています。
驚いたことに、作者の中には2歳や3歳という子も。(どのように書いているんだ?と思ったら、子どもが発した言葉を家族が記しているんだとか。なんとも可愛らしいですね、筆を走らせたくなる気持ちがとてもよく分かります。)
現代では写真や動画で日々の出来事を残すことがごくごく一般的ですが、言葉で思い出を記す行為がとても慈しみ深い行為なんしゃないかと考えさせられました。
子どもの気づきは宝物
例えば本書の中に、子どもたちが空を飛ぶ飛行機を見て「小さいね」「うまれたんだね」と会話している場面が描かれています。大人になってしまった私たちには、こんな感性はありません。(言い切ってしまいましたが大抵の方は恐らく…)かつては持っていたはずなのに、どこかに置き忘れてしまったようです。
「違うよ。遠いお空を飛んでいるから小さく見えているだけで本当は大きな飛行機なんだよ」と子どもたちの感性を大切にしたいと思いました。
子どもたちのひらめきや発想、
気づきは本当に宝物です。
本著では統一されたフォントで入力されている文字も、実物の詩ではきっと、もっと愛らしい文字が並んでいるんだろうなぁと想像したら心がほっこりとしました。
私たちもかつては赤ちゃんであり、子どもでした。しかし、大人になると時間の流れに押し流され、子どもの頃の感性を失ってしまいがちです。まるで「こどもの感性忘れ物センター」に置き忘れてしまったかのようです。でも、まだ遅くはありません。少しずつ「ことばのしっぽ」を取り戻しに行こうと思います。