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道明寺じゃない桜餅の名前を聞いた日のこと


桜の咲き具合について耳にする機会が増えてきました。今日は桜餅についてお話ししましょう。


桜餅。塩漬けの桜の葉っぱに包まれている、あれです(見出しの写真)。あんこを包んだ餅米の粒の形が見えるタイプの桜餅が私にとって小さい頃から食べ慣れた桜餅でした。



ところが、ある時、お稽古場の先生からお茶会のお手伝いにとお声をかけて頂いて、嵐山の三船祭にうかがうと、そこで見た桜餅は餅米の粒が全く見当たらない、つるっとクレープっぽいピンク色のものでした。


ちょうどお天気も良く、たくさんの方がお見えになり、大賑わいでその日が過ぎました。その次のお稽古の時に一緒にお手伝いにうかがっていた友人と『桜餅に種類があるなんて知らなかったよね…』と話していると先生が【長命寺】という名前を教えてくださり、「どっちも美味しいよね」とその時お席に入っていたみんなの意見が一致しました。


『長命寺』いま改めて漢字を見ると縁起が良い雰囲気を感じます。道明寺と長命寺。どちらの桜餅も満開の桜の景色を思わせるたたずまい。あの日、休憩室の障子を薄く開けて見た景色と雑踏の気配を思い出す、そんなひとときです。



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光森ちづこ@茶道家/仏語翻訳家
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