読書人間📚『甦った脳髄』草野唯雄
『甦った脳髄』草野唯雄
昭和59年4月10日 初版発行/ 角川書店
草野唯雄 そうの ただお(1915年10月21日〜2008年)
▶︎「復顔」
先日、何の記事を見たのか、友人がクローン人間はもう存在しており、そのクローン人間は臓器提供をさせられる存在として扱われるかもしれないという事に、クローンでも人間として生まれた命なんだから、そんな酷い事は無いと憤慨していた。そんなことをふと思い出しました。
▶︎「根絶やし」
一つの家系を絶やすほどの怨み。人はそこまで怨み続ける精神力があるのか. . .
▶︎︎「死霊の家」
SF? 夢か現実か。 奇妙な世界に踏み込みながら、なお求める欲望。超常現象と性欲過多症の異常な官能の世界。
▶︎「甦った脳髄」
表題なだけにインパクトのある作品です。
「女の人のあそこが見たい. . . 」と、わが息子に言われ、凍りつく。神の領域に手を出した報い。人が人を育てるには、人の道理を誤ってはいけません。
▶︎「死の家の挿話」
夫の愛を失いたくない妻の恐怖心から生まれる狂気。現実に無くは無さそうで、妻を気の毒にも思えます。
▶︎「闇の怨霊祓い」
一番怖いのは町のイケメン占い師。コックリさんかあ。懐かしいけど、怖かったなあ。誰かが動かしているのか? 本当に霊が存在するのか? ゾワゾワこころの芯が震える感覚を思い出しました。
▶︎「呪いの幽体」
博士は変態異常者として名を残してしまうけれど、妻を愛するゆえの. . . と言っても、やっぱり神の領域に手を出してしまうのは許されません。
▶︎「闇の中の棺」
女性が強い?かしこい?設定はおもしろいですね。あっぱれどんでん返し。
▶︎「皮を剥ぐ」
この作品が、この古書を購入するきっかけです。
やはり極悪の味わいです。この作品を読み、3,000円で手に入れた不快さは誰にでもおすすめできない価値ある1冊に決定しました。
元は、文春文庫、アンソロジー『もっと厭な物語』におさめられているのを読みました。(こちらも絶版?)
この手の作品は、"恐怖小説"と言うのだそう。ミステリー、サスペンスであり、エログロ、淫猥で陰惨。歪な人間たちで溢れた不気味さのみが漂います。
解説によると、本来、ミステリーの原点ともいうべき恐怖小説の分野は、戦後、あまり歓迎されなかったようです。その時代、作り話と言えど、不穏な空気を作り出す世界へわざわざ身を置こう、触れようと人は思わなかったからでしょうか。
本書が気になる変態さんは絶版書なので、古書店で探されてください。
わたしが3年間、芸術を学んだ大分県の、古書店・カルチャーセンター「書肆ゲンシシャ」さんでもお読み頂けるそうです。
こちらでは珍奇なものばかり扱われており、Twitterでも、画像付きで紹介されています。興味深いですよ。
解説 宗 肖之介
カバー 小玉英章
カバー 暁美術印刷
装幀 杉浦康平
🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。
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