虚無を抱く / 村田は綴る✍🏻
「君は観賞用にできている」と言葉で女を撫でつける。そうやって想像し本能を駆り立てているのだ。その淫らな響きの心地よさに女は微笑む。
花を頂く茎のように、真っ直ぐに伸びる手脚をずっと愛でていたいと男の硬い指は女の柔らかな肌の上をゆっくりと這う。
女は旬を過ぎ、男は天に近い。燃え盛った時期を思い出す様に指の腹だけに意識を集中させる。じっとりとした目つきと静粛な息。
. . . . . 喘ぐ生命 . . . . . 躊躇う息 . . . . . .
女は化粧台の前で体を整える。
その姿を、寝たふりをしながらじっと物言わず見つめている男の目。
女は鏡越しに見せつける様に薄いレースの生地をゆっくり擦り上げる。
男は女の作った現実だけを抱擁し、女はぬくまった体を捨て現実へ戻っていく。
交わった様で何も混じり合う事なく男と女は時間を越える。
何も起こらない。何も変わらない。
しかし、男と女は明日を恨み、明日を望む。
老いる哀しみだけを共有する舐め合う時間は男と女には何よりも必要な事だけは分かり合っている。
人間は寂しく無様だ。
だから必要とし、虚無に絡み合う。
愛しい生き物よ。
photographer 山岸伸
被写体 村田千沙
山岸伸先生の「輓馬 —BANEI KEIBA—」素晴らしいですよ。
『僕の本を食べる女』も宜しければご覧ください☺️✍🏻
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🔫声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン／東京都
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。
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