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ゆるとも初心者クラブ

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【note初心者さんのための共同運営マガジンです】「創作を続けること」と「交流を楽しむこと」を目的に活動をしていました🍀 活動当時は「noteを初めて1年未満」、もしくは「not…
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#短編小説

【短編小説】 春

 春はいつだって、物憂く気だるく、感覚という感覚を甘く鈍らせる。あの頃は、春がいつか終わ…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
37

【短編小説】AI

 20XX年4月某吉日。桜吹雪の舞い散るなか、AIの未来についての講演を聴く為150人ぐらい…

秋ノ宮 陽菜
6か月前
27

【短編小説】夏の終わり、道の始まり

 心地よい夢をみていた。  胸につかえていたなにかが、すっきりと洗い流されるような、ほっ…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
13

【短編小説】カルチャーセンター

 弁蔵のやつは、丘の上のカルチャーセンターとやらに行き出してから、妙に色気づいて癪に障る…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
24

【短編小説・二話完結】橘めるるの憂鬱・2

 今日は週に一度の本社当番の日である。本社に提出する書類を持って車で向かい、持って帰るも…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
20

【短編小説・二話完結】橘めるるの憂鬱・1

 橘めるるは憂鬱である。朝六時半に目覚ましで起きると、いつものように男友達からラインが入…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
27

【(やや)短編小説】マリッジブルー・後編

 この場で連絡先を交換し、ふたりは急速に仲良くなった。そしてある冬の日、みちるはいろいろすっ飛ばして、貴文に抱かれた。初めてだった。  ことが終わったあと、貴文は 「ごめんね。痛かった?」  と訊いた。 「ううん。覚悟はしてたから」  と、みちるは笑った。 「男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがる、ってね」  貴文は上機嫌だったが、みちるはその言葉にもやもやした。貴文さんの最後の女になりたいよ。私の初めてを奪ったんだから、最後の女でいさせてよ。      その

【(やや)短編小説】マリッジブルー・前編

 五月の曇りなき空に、色とりどりの花が舞う。ここは瀬戸内のガーデンフレンチレストラン。「…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
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【短編小説】命ある限り踊り続ける勇気と希望

 さっきまでうっとうしいぐらいに強い日差しが降り注いでいたのに、急に暗い雲が立ち込めてき…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
23

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・6(最終話)

 かっちゃんが死んだのは、それから二週間と経たない頃だった。かっちゃんは土間にうつ伏せに…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
21

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・5

 事件が起こったのはそのあとだった。かっちゃんより少し前に男湯を出た僕は、フルーツ牛乳を…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
23

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・4

 そこへ母ちゃんが入ってきた。 「勝治、あんた、悠馬を連れて銭湯へ行ってきてくれない?」 …

秋ノ宮 陽菜
7か月前
20

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・3

 そんな会話をしているうちにも、トタン屋根にはばちばちと雨が当たり、雨受けの茶碗たちはり…

秋ノ宮 陽菜
7か月前
20

【(わりと)短編小説】ほらふきかっちゃん・2

 僕が行くと、かっちゃんは畳敷きの上の布団を畳んで脇によせ、おいでおいでと手招きした。僕は昔から、かっちゃんの話を聞くのが好きだった。 「かっちゃん、なんかお話して?」  僕がせがむとかっちゃんは必ずなにか話をしてくれた。 「じゃあきょうはおじいさんランドのはなしをしよか」 「おじいさんランド?! してして!」  僕は声を弾ませる。 「ええんか? 途中で怖なってもしらんよ」  かっちゃんは言うけど、かっちゃんの話が怖かった例がない。 「南半球って知ってるか?」 「うん。