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掌編怪談

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自作の掌編怪談のまとめ
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2023年1月の記事一覧

掌編怪談「孤独」

近所に引籠りの息子を残して両親が亡くなった家がある

両親が亡くなっても息子は家から出ていないのか、誰も姿を見ていない

仕事どころか買い物をしている様子もないので、生きているのかも疑わしい

そんな話をしていると、その家の隣に住んでる老夫婦が事故で亡くなった

不幸は続くものだと嘆いていると、今度は斜向かいの家の子供が高熱からくる肺炎で亡くなった

それからも近所の家から続々と死者が出る

いつ

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掌編怪談「木」

最近疲れがとれない

食べても食べても腹が空く

どれだけ食べても太るどころか痩せる一方だ

病院でも原因が分からない

ストレスのせいだろうか

睡眠の質も悪いのか、変な時間に目が覚める

朝方なら良いが、夜中に目覚めると何故か部屋に木が生えている

これが人ならば悲鳴を上げて逃げるだろうが相手は木だ

ストレスで見える幻覚だと思い無視をする

ある日、窓から差し込む光に照らされた木の幹に違和感

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掌編怪談「お面」

空き地に三枚のお面が落ちていた

昨日よりも一枚多い

いつもなら無視するところだが、その日は仕事のミスで帰りが遅くなっていた

疲れて頭がおかしくなっていたのだろう

夜が深く、人目がないのも良くなかった

不法侵入と分かっていたが、自然と足がお面の方に向かっていた

お面まであと数歩

不意に地面の感覚が無くなり、体が落下する

地面はまるで流砂のようだ

一気に首まで埋まってしまった

動く

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掌編怪談「ドライブレコーダー」

交通事故が発生した

車と人の接触事故で、死者が出た

車の所有者は亡くなった被害者だったので知り合いの犯行だと思われる

捜査の有力な手掛かりになるので、ドライブレコーダーを確認する

車内も写るタイプなので犯人も分かるだろう

事故直前から再生する

車内映像には運転している被害者しか写っていない

車は一切止まらずに事故現場付近に差し掛かる

突然、車の前に人が現れて衝突した

捜査員は目を

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掌編怪談「花」

人生で初めて幽体離脱を経験してからと言うもの、その虜になった

ネットにある様々な方法を試した結果、再現性の高いものを見つけた

それは仰向けになり、胸の上で手を組んで寝ると言うものだ

それからは毎日幽体離脱を楽しんだ

一ヶ月ほど経った頃だろうか

自分の体に戻ろうとして気がついた

ベッドに数本の花が置かれている

花には触れることが出来ない

体に戻ると花は無くなっていた

その日から幽体

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掌編怪談「廃村」

戦時中、曽祖母が疎開した村に本家の家がある

終戦以降は使用されず朽ちていると聞く

面白そうなので探険することにした

辺鄙な場所で道なき道を進み、何とか到着する

床板が腐ってまともに探索出来なかったが、庭にある蔵で家系図を見つけた

何故か俺の玄孫の代まで名前が書かれているが、俺の子孫は名前の文字が掠れて読めなかった

家系図と一緒に入っていた本には没年月日と死因が書いてある

家系図に書か

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掌編怪談「目」

掌編怪談「目」

俺は目が悪いのでコンタクトレンズを使用していた

つける時はいつも鏡を使う

その日もコンタクトつけようと鏡を見ると右目に違和感を感じた

顔を近づけて良く見る

鏡に写る自分の目

その右目に反射して見知らぬ女性が写っている

彼女が俺の目に針を突き刺した

現在、刺された右目は光の強弱が分かるのみでほとんど見えていない

掌編怪談「写真」

趣味に記録をつけようと思い、カメラを買った

なるほど、スマートフォンよりも繊細で美しい写真が撮れる

買ったばかりなので練習の為、毎日最低でも五枚は撮るようにしている

それから数週間後

その日は久々に趣味楽しんだ

写真も満足いくものを撮ることができた

その日から数日間

練習で撮った写真に何かが写つり込んでくるようになった

これは耳?

他の写真も良く見てみる






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掌編怪談「事故」

痛みで目を覚ます

自分の置かれている状況を見て車の運転中だったことを思い出した

どうやら交通事故に巻き込まれたみたいだ

事故で変形した車から何とか自力で這い出る

立ち上がり、周囲を見渡して事故の状況を確認する

ギャー

背後から悲鳴が聞こえた

声の方を見ると女性が怯えた目でこっちを見ている

誰でもそんな反応になるさ
その時は気づかなかったけどこんなんだし

と言って中身の入っていない

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掌編怪談「言霊」

子供の頃からの癖で思ったことがつい口に出てしまう

止めることが出来ないので、それならばと声を抑えるようにしている

写真館の仕事で七五三の家族写真を撮ることになった

ファインダーを覗くとピントがあわずぼやけている

なんか油絵みたいだな

そう呟くとグシャッという大きな音が聞こえた

カメラから目を離し、音の方を確認する

そこにあるのはカメラ越しに見たものと同じ景色

客が…家族がドロドロに

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掌編怪談「夢」

高い頻度で死ぬ夢をみる

殺人 事故 自殺と死に方は様々

夢占いでは幸運とされているが、何年も見ていると流石に寝るのが嫌になる

SNSで色んな記事を読んでいると私と同じ名前のブログを見つけた

見てみると死体の写真が掲載されている

写真をみるに死因は様々

全部同じ人?
というか…私?

まさかと思い最新の記事をみる

私が死ぬ夢を見た日に更新されている

写真に写る姿は、夢で見た自分と全く

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掌編怪談「影」

子供の頃は友達がいなかった

だからか、自分の分身である影に惹かれた

いつも自分の影に話しかけたり、一緒にごっこ遊びをしたりと楽しんでいた

影絵で遊んだ時はお互いに違う動きをするから上手く出来なくて喧嘩になった

殴り合いの喧嘩の末

お前なんかいらない

と怒鳴り、影送りをしたんだ

影は私から離れて空に消えていった

それから私は光が怖い

掌編怪談「くちゃくちゃ」

先輩と二人で測量の為に山に入った

先輩は僕の後ろを歩いており、ガムをくちゃくちゃ噛んでいる

いつもの事だが不快な音だ

そう思いながら時々雑談を挟みつつ山を登る

そろそろ着きますよ

先輩に声をかけるが返事がない

相変わらずくちゃくちゃと咀嚼音だけが聞こえてくる

溜め息が出そうになるのを飲み込んで振り返る

デカイ顔から手足が生えた毛むくじゃらの化け物が振り返った僕の眼前でくちゃくちゃ何

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掌編怪談「柘榴」

給食のデザート柘榴だって

なにそれ

知らないの

僕知ってるよ

どんなの?

うんとね、赤くてぐじゅぐじゅしてて変な味なんだよ

なんかおいしくなさそう

うん、おいしくないよ
たまに食べるけど残したら怒られるから我慢してる
それにちょっと臭いんだよね

じゃあおいしかったらもらってあげるね

うん、ありがとう
でもデザートかな?

違うの?

甘くないしお肉の方が似てるのにデザートなのかな

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