掌編怪談「お面」

空き地に三枚のお面が落ちていた

昨日よりも一枚多い

いつもなら無視するところだが、その日は仕事のミスで帰りが遅くなっていた

疲れて頭がおかしくなっていたのだろう

夜が深く、人目がないのも良くなかった

不法侵入と分かっていたが、自然と足がお面の方に向かっていた

お面まであと数歩

不意に地面の感覚が無くなり、体が落下する

地面はまるで流砂のようだ

一気に首まで埋まってしまった

動くともっと深く沈んでしまう

人通りがないので助けも呼べない

何もしなくても少しずつ地中へと引っ張られていく

どうしようかと思案していると、目の前の地面から泥塗れの手が出てきた

良い面だ、貰っておこう

どこからか声が聞こえる

その手が俺の顔を掴むと同時に意識がなくなった

翌朝、四枚のお面が空き地に転がっていた

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